プロ野球界に新たな本拠地が登場する。北海道北広島市に日本ハムファイターズが革新的なボールパークを建設し、2023年のシーズン開幕はここで迎えることが決まっている。「エスコンフィールドHOKKAIDO」と名付けられた同球場は、現在来年1月の竣工に向けて建設工事は最終段階。北の大地に誕生するボールパークはどんな球場になるのか、その特徴、魅力をリポートする。 取材・文=滝川和臣 写真=高原由佳、北海道日本ハムファイターズ 球場を象徴するセンター後方、高さ約70メートルのガラス張りの壁面は出来上がった。開閉式の屋根もすでに可動できる状態にある
球団初の自前球場
北海道日本ハムファイターズの球団経営は2023年、新たなフェーズに移行する。北海道に本拠地をかまえた04年より慣れ親しんできた札幌ドームに別れを告げ、札幌市に隣接する北広島市に新球場「エスコンフィールド HOKKAIDO」を完成させ、来季の開幕に合わせて開業させるのだ。
球団とスタジアムの一体経営がスポーツチームの成長に不可欠な要素として、ここ10〜15年の間にプロ野球でも主流となっている。これまで後楽園、東京ドーム、札幌ドームを“間借り”してきたファイターズにとっては、自前の球場を持つことは初めてであり、悲願でもあった。新球場の構想は10年ごろから議論が始まっている。プロジェクトが実際に動き出したのは15年、18年秋には新球場の建設と球団の移転が正式発表された。20年春に着工となり、現在は来春のオープンに向けて着々と工事が進められている。
プロ野球では09年に開業したマツダ広島以来、14年ぶりの本拠地新球場となるエスコンフィールドHOKKAIDOは一体どんな球場なのか、工事の進捗状況と合わせてファイターズ スポーツ&エンターテイメント ファシリティクリエーション部の小川太郎部長に聞いた。
取材に応じるファシリティクリエーション部、小川太郎部長
まず気になるのは立地だ。人口約196万人の札幌市から、6万人弱の北広島市では集客の面でハードルがあるように思えるが、小川さんは説明する。「なぜ、北広島市なのか。われわれは球場の周辺にさまざまな事業を誘致して、パートナーシップを組むことで野球興行以外にも何らかの価値を提供したり、地域に貢献などしたいと考えてまいりました。敷地は北広島市から一括で借り受けています。面積は約32ヘクタールで、野球場6個分くらいの広さがあります。そこを段階的に、中長期的に開発していく計画です」。球団経営の根幹ともいえる集客面については「新球場を起点に1時間の移動圏内にどれだけの人口・商圏があるかを意識しました。そういう意味では、中心となる場所は変わりますが、商圏規模に大きな変化はありません」と語り、札幌の中心地から電車で約20分の距離にある北広島市であっても、札幌ドームと同様、もしくは・・・
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