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2022魅惑のスタジアム

<高校野球大好き芸人>かみじょうたけしが語る「野球のドラマは地方球場にあり!」

 

高校野球の地方大会、プロ野球の地方遠征でも使用されるなど、全国各地には数多くの球場が存在する。高校野球大好き芸人のかみじょうたけしさんに、実際に足を運んだことのある球場のエピソードや、地方球場ならではの魅力を聞いた。
取材・構成=富田庸 写真=BBM

佐藤薬品スタジアム

両翼93メートル、中堅120メートル、内野=土、外野、人工芝


千羽鶴は一人一つ?


 地方球場では、たまにプロ野球も開催されますよね。普段は球場に行けないような方も、「ここに来てくれるなら、家族と行けますよ」という方がたくさんいるんです。だから応援席は笑顔でいっぱいになる。いつも以上に応援の力がすごいように感じることもあります。

 僕は見に行けなかったんですけど、2017年に青森県弘前市のはるか夢球場(弘前市運動公園野球場)で楽天の公式戦が開催された際、地元・三沢高出身の太田幸司さん(元近鉄ほか)と梨田昌孝監督(当時)が現役時代以来のバッテリーを組み、始球式をしたんです。実際にスタンドは満員でしたし、そうやって地元のスターを登場させ、野球ファンの心をくすぐるような演出は見事でした。

 僕の高校野球の地方球場観戦はやはり、関西が中心になります。奈良で高校野球のダイジェスト番組をやっているので、近年では佐藤薬品スタジアムが圧倒的に多い。この球場は両翼93メートルで、サイズ的にコンパクト。甲子園に出場するような強豪校の選手でなくても、コーンと芯に当たったらスタンドインするんです。だから、「この進学校の子がホームランを打ったのか!」とか、新鮮な出来事が多く起こるんですよね。

 今、巨人の四番に君臨している智弁学園高時代の岡本和真君もよく覚えています。変化球を左腕一本でチョコンと合わせただけで柵越え。「アンタはここでやったらアカンやろ!」と思って見ていました(笑)。彼が高校2年のとき、すでにプロから注目されていた大和広陵高の右腕・立田将太君(元日本ハム)との対決は、見どころたっぷりでした。

 このときは岡本君がとにかく力んで、力んで(笑)。ファウルボールが畝傍御陵前駅の駅前まで飛んでいったんじゃないかと思うほど(実際は徒歩9分ほどの距離)。そのときは立田君の完勝でした。プロ注目選手同士ということで、岡本君も意識したのでしょう。

 また、2年前は新型コロナの影響もあり、奈良も独自大会としての開催でした。決勝戦は天理高対奈良大付高で、天理高が6対4で勝って優勝しました。その試合後、球場に誰もいなくなり、帰ろうと思ったときのこと。天理高の三塁側ベンチで一人、泣いている選手がいて。それが主将の下林源太君でした。その瞬間、察しましたね。「そうや、勝っても甲子園がないんや」と。勝っても悔しいんやと。それをチームメートに見せずに鼓舞してきたのだと想像すると、僕のほうもジーンときました。

 合同チームの奮闘も地方大会ならではです。かつて奈良では青翔高・二階堂高・吉野高が合同チームを結成し・・・

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