優勝争いを演じながら、勝ち切れないシーズンが続いている。チームの全権を握るのはゼネラルマネージャー(GM)であり監督である石井一久。その理想像はどこにあり、現在はどこに位置しているのだろうか。チームの今にスポットを当てた。 文=田口元義(フリーライター) 写真=井沢雄一郎 グラウンドへ厳しい視線を送る石井GM兼任監督。普段のコメントでも、選手たちに求めるハードルは高い
激しい若手の競争
球団記録の11連勝と波に乗れば、勝ちに恵まれないときもある。それでも今季の
楽天は、開幕から骨太でブレない野球を見せる。
「中・長期的に勝てるチームづくり」
これは、石井一久が2018年にGMとなってから掲げ、監督を兼務することとなった21年から現場でも遂行するチームの方針である。その骨格がいよいよ顕在化されつつあるのだ。
石井がGMとなってから積極的に着手したのが補強だった。
18年オフに
西武の
浅村栄斗を獲得。翌年には
ロッテから
鈴木大地と
涌井秀章、
酒居知史、アメリカでプレーしていた
牧田和久を招き入れた。そして21年には、13年の楽天日本一の立役者であり、ニューヨーク・ヤンキースでの7年間で通算78勝の
田中将大の凱旋を実現させ、バッテリーの強度を高めるために
巨人から
炭谷銀仁朗も呼び寄せた。
石井の大胆な補強は、「戦力に厚みを持たせる」といった単純な狙いだけではない。彼らの経験と技術、闘争心の還元こそが深謀なのである。
「楽天はまだまだ歴史が浅い球団なので、『強者のDNA』という部分ではどうしてもほかの球団より浸透しづらいんです。そこで経験と実績のある選手が加わってくることで、選手と指導者、一軍と二軍の垣根を越えた環境を作れるんです」
楽天は補強組や
銀次、
島内宏明、
則本昂大らチームを支える13年の日本一を知る生え抜きが、今もラインアップを占めている。だが・・・
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