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侍戦士の2023 WBCからのさらなる飛躍

エンゼルス・大谷翔平 二刀流の天命 大谷はみんなにとって『目のくらむようなまぶしいもの』『奇跡のようなキラキラしたもの』そのものになった

 

二刀流の真価を発揮してWBC世界一達成の最大の原動力となった大谷翔平。天命を果たした男はどのような存在となったのか。日本ハム時代から大谷を見つめるコラムニストのえのきどいちろう氏がつづる。
文=えのきどいちろう(コラムニスト) 写真=Getty Images
※年齢は2023年の満年齢

大谷翔平[エンゼルス/投手&DH/右左/29歳]


第5回WBCは「神回」


 WBC2023は規格外のドラマでしたね。2006年、第1回大会初戦を東京ドームに一緒に見に行った友人がいて、当時はまだWBCなんていっても海のものとも山のものとも知れないころですよね。そこに王ジャパンが挑戦した。僕は自分の名前でもあるし、イチローTシャツを買って着込みましたよ。あれから壮大な絵巻物のようにWBCの物語は続いてきたわけだけど、今回は別格の趣がある。その友人がこうツイートしてたんですよ。

「あと何年生きてても、野球でこれ以上のものは見られないんじゃないかという気さえする2日間。『漫画やアニメでも描きづらいようなことをやってくれた選手たち』と、まさにそれをやってきた松坂が、放送席で語っている」

 僕はファイターズファンだから栗山英樹監督の考えてることが何となく分かるんですよ。栗山さんは「野球の神様」ということをよく言う。スポーツ紙の報道でヌートバー選手も実は同じだと知って驚いたんですけど、いわば「野球の神様」の信者っていうのかな、人事を尽くして、最後の最後は「野球の神様」に決めてもらおうとする。準決勝メキシコ戦の村上宗隆のサヨナラ打も、決勝戦アメリカ戦のオーラス、大谷翔平vsトラウトの名勝負も、人間がどうこうできる範囲を超えてましたよね。栗山さんも驚くほど落ち着いていた。ある種、もうここから先は、自分が関われるものじゃないと肚(はら)をくくっているように見えた。あとは「野球の神様」の担当。

 WBC2023は「野球の神様」担当回だったんです。縮めると第5回は「神回」。栗山さんの「野球の神様」はもうちょっと普遍的な表現にすると・・・

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