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若き逸材たち

「2年目の帝王」列伝 ブレークがルーキー時代と限らない名選手たちの記憶

 

ルーキーイヤーから活躍する一流選手は多いが、全員がそうかというと、そうとも限らないのがプロ野球。「1年目はさっぱりだったけど、2年目に飛躍した」というケースも結構ある。ここでは、2年目に這い上がった成功者たちをピックアップした。
文=落合修一


青木は199安打増、坂本は前年比134倍


 打者では、何と言っても青木宣親(ヤクルト)だ。早大から2004年に入団した青木は、ドラフト4位という順位から分かるように、プロ入り時点ではそこまでの超大物という存在ではなかった。1年目は、一軍出場10試合で15打数3安打、打率.200という成績を残しただけ。

 ただし、フレッシュオールスターのMVP、イースタンの首位打者とファームで無双すると、2年目の05年は一軍の開幕スタメンを勝ち取り、レギュラーに定着。終わってみれば588打数202安打、打率.344。イチロー(オリックス)に次ぐ史上2人目、セ・リーグ初の200安打を記録し、首位打者と新人王を同時獲得する大活躍を見せた。1年目と2年目の安打数の差が「199」というバッターは、もう二度と現れないかもしれない。

 青木は大卒入団だったが、坂本勇人(巨人)は光星学院高から高校生ドラフト1巡目で2007年にプロ入り。高卒ルーキーだった同年は主にファームで過ごし、二軍成績は77試合出場の打率.268。イースタン・リーグでは遊撃手のレギュラーとして規定打席に達したものの順位は17位と、高卒ルーキーとしては立派だが特に突出した成績を残したわけではない。一軍デビューも経験したが、わずかに4試合。3打席で3打数1安打というのが、プロ1年目に一軍で残した成績のすべてだった。

 しかし、野球センスは高く評価されていた。当時の巨人の二塁手は木村拓也脇谷亮太が併用されるなど固定されておらず、坂本は2年目の08年3月28日のヤクルトとの開幕戦(神宮)で「八番・二塁」のスタメンに抜擢。すると、正遊撃手の二岡智宏が試合中の負傷で途中退場となり、セカンドに木村拓が入り、坂本がショートに回った。そのまま二岡は長期離脱。翌日以降は坂本が遊撃レギュラーに定着した。7月に二岡が復帰してもサードにコンバートされ、シーズン終了後には日本ハムへトレード移籍した。

 坂本は高卒2年目のシーズン、チームの全144試合に出場して521打数134安打、打率.257という成績を残した。安打数は前年比「134倍」。高卒2年目の遊撃手と思えば、100点満点の数字だと言えるのではないだろうか。

 プロ1年目の1ケタの安打数から2年目に130以上の安打を残した選手には・・・

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