打席の中で確率の高いことをする。打者であれば誰もが考えることだ。しかし、それを現実で体現するのは想像以上に難しい。失敗を一つずつ削ぎ落とすことで確率と幅を広げている。 文=日比野恭三 写真=BBM、阿部卓功 確率をポジティブの要素に
関根大気の躍動が止まらない。
今季の
DeNAでひときわ強い輝きを放つ背番号63は、5月21日現在、リーグ2位の打率.364をマーク。俊足を生かしたカバーエリアの広い外野守備に加え、隙のない走塁を随所に見せている。4月5日以降は全試合にスタメン出場しており、今や好位置につけるチームに欠くことのできないキーマンだ。
打撃好調の要因を関根はこう語る。
「自分がやれること、確率が良いスイングを打席内では意識しています。相手に合わせるのではなく、自分のスイングをする。それができない球は見送って、追い込まれてしまったらなんとかバットに当てて。ただそれを日々やっているって感じです」
そうした姿勢が実を結んでいることは数字を見れば明らかだ。三振率は昨季までの通算で16.5%だったが、今季は7.6%に激減。かたや四球率は4.2%から8.3%へと倍増した。その結果、今季の出塁率は.418に達し、チームメートの
宮崎敏郎に次ぐリーグ2位に位置している。
素質を高く評価されながらもレギュラーをつかむには確実性が欠けていた印象のある関根が、プロ10年目にして明確な変化を示した理由とは何か。ヒントは、先の発言にもある「確率」という言葉だ。
「1試合ごと、1打席ごとに振り返られているので、修正までの時間が短くなっているところはありますね。逆に、打てていないときは時間軸を長く捉えるんです。凡打が5打席続いたら『10打席、20打席で何本か出てればいいよね』と。『ということは、もう(ヒットが)出るっしょ』と。結果的に、今年はノーヒットが2試合連続まではあるけど3試合目には(ヒットが)出ています。そこは確率の問題なので、自分を許せるような考え方をするというか、ネガティブにならないように、良いモチベーションにできるように試行錯誤しています」
打席ごとに変動する数字は焦りや欲の源になり、時として打者をがんじがらめにする。だが関根は・・・
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