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ロッテの変革

ロッテ・黒木知宏インタビュー 一軍投手コーチに聞くマリーンズ投手陣の安定感「個々のポテンシャルは高い。コーチの仕事は、力を発揮できる環境づくり」

 

ロッテの今年の好調の最大の要因は、安定した投手力。チーム本塁打44がリーグ最少という攻撃力の割にトータルで貯金を作れているのは、チーム防御率3.36と失点を少なく抑えているからだろう。ロッテ投手陣は、何が変わったのか。今年から就任した黒木知宏一軍投手コーチに、投手陣の現状について尋ねた。
取材・構成=落合修一 写真=高塩隆、桜井ひとし、川口洋邦
※記録はすべて7月2日現在

黒木知宏一軍投手コーチ


自分が完投するんだという気持ちで


──今年のマリーンズが好調な理由に投手陣の安定感があると思うのですが、今年投手コーチに就任された黒木さんはどのような指導をしていますか。

黒木 昨年まで外から(解説者として)マリーンズの投手陣を見ていて、個々の投手の能力の高さは分かっていました。その投手たちが良いパフォーマンスを出すにはどうしたらいいのかは、時間を掛けないと分からない部分も多々あります。ただ、今のところ、選手がやりやすい環境とは何か、というのはずっと考えています。監督の方針は、それぞれの選手が主体性を持ち、考えて、自ら行動を起こしていく。それをサポートするのがわれわれの仕事です。だから、あれしろ、これしろ、それをやりなさいとか、こういう投げ方をしないほうがいいよとか、そういう技術的な指導は、実はそんなにやっていないんですよね。やっぱり彼らもプロである以上は、自分で責任持たなきゃいけない。かといって、自分でやらないのであればやってもらう方向に仕向けていく。そこを常々考えながらやっているという感じなんですよ。現状、それがうまくいっているのかな。

──技術的な指導というよりは環境づくりなのですね。

黒木 手放しということはないのですが、選手たちがやろうとしていることを紐解いてあげたい。それを実戦で再現性を持ってやれるかどうかを、すり合わせながらやっています。ファームでも、投手の主体性を持ってやってもらっている部分はあります。まだ、これがベストかは分かりません。シーズンは終わっていないし、まだ僕も就任して間もないような状況なので、こういう方針がうまくいっていますと簡単に言えないです。強いチームを構築するためにやらなければいけないことはまだたくさんありますし、選手たちと100%の信頼関係を築けているかどうかは分かりません。でも、それを築けるように僕も努力はしています。

──先発ローテーションの5本柱が安定しています。

黒木 先発投手がしっかりとイニングを投げているというのも、好調の要因の一つとしてありますね。リリーフ陣をしっかりと構築させるのもすごく大事で、勝ちパターンのクローザー、セットアッパーの確立というところと、ゲームの中盤を抑える強いピッチャーたちの存在は重要なんです。ただ、最近よく監督と話しているのは、もちろんそこ(リリーフ陣)も大事なんだけど、やっぱり先発ピッチャーがしっかりとイニングを食って、ゲームをちゃんと作ってくれること。そうしてくれないと結果としてリリーフ陣が疲弊してしまう。そういう結論になるんです。試合で先発した投手は最低でも5回、6回と投げてくれること。現状、クオリティースタート率も非常に高いので、その結果としてのリリーフ陣も非常にいい形で回っているところがありますね。

──投手のコンディションを最優先し、無理をさせない起用をしているように見受けられます。何が何でも完投しろとか、そういうことはないですよね。

黒木 でも、試合の中ではありますよ。この場面を頑張ってくれたらこの投手は一つ階段を上る。だから・・・

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