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高校野球地方大会特集 2023夏甲子園を目指す熱き戦い

秋田・能代松陽を指導する元プロ野球選手に聞く 稲川誠(元大洋投手) 青春真っ盛りの86歳 3季連続甲子園出場へ

 

巨人キラーの本格派投手として活躍、現役引退後も「DeNA」一筋に投手コーチ、スカウト、寮長を務め、半世紀にわたりプロ野球人であり続けた稲川誠さん。退団後、プロ野球関係者が学生野球を指導するための研修を受講して資格回復。いま縁あって神奈川・湘南の自宅から定期的に秋田県能代市に行き、能代松陽高校野球部を指導している。同校は昨夏と今春、甲子園に連続出場を果たした。
取材・文=山崎博史 写真提供=稲川誠 ※取材は6月上旬

能代松陽グラウンドのベンチ前で練習を見守る稲川さん


今度の夏が勝負どころ


――能代に行って、戻って来たばかりとか。

稲川 能代行きは、新型コロナのパンデミック以来、ずっと中止していたんですが、昨年夏に再開しました。今回は2週間行って、帰って来たところです。能代松陽は今年のセンバツ出場後、春の秋田県大会に夏の大会のシード権をかけて臨みましたが、残念ながら3回戦で負けてしまった。今回の能代行きは、その県大会を勝ち残っているものとして組んだ日程だったのですが、急きょ、非シード校として夏に向かうための練習に変わりました。

――センバツでは、優勝候補と言われた大阪桐蔭にもう少しで勝てそうだった。

稲川 あれは、本当に惜しかった。桐蔭はいい選手がいっぱい集まっている「全国区」のチームだから、うちはボロ負けするだろうと思っていました。東北の県立高校が地元の子だけで組んでいるチームとは、実力がはなから違う。それが、エースの森岡(森岡大智)がすごく絶好調で、予想以上に桐蔭打線を抑え込んでくれました。

 僕は常々、冗談紛れに「オレが死ぬまでに、頼むから甲子園に出場してくれ」って言って、選手たちを鼓舞していました。そしたら、ホントに夏の大会に出ちゃった。それで、みんなに「オレはもう死ななきゃあいけないなあ」って言ってたら、春も連続出場して素晴らしい戦いぶりを見せてくれた。

 ということで、今度の夏が能代松陽の勝負どころ。森岡がどれだけ頑張るか、というところです。県予選が始まる前に、もう一回能代に行かなきゃと思っています。

――森岡投手がキーマン?

稲川 彼はすごくいいものを持っている。あとは本人が死ぬほど練習するか、しないか。そういう気持ちがまだ、ちょっと足りない。野球でメシを食うプロ選手じゃないからしょうがないけど、それくらいの練習をいかにやらせるかが、僕の役目です(笑)。

 夏の大会まで1カ月ちょっと。森岡はこれからの踏ん張りで、ガーっと成長するか、ダメになるか。僕が見るに、ガーっと行く可能性が大。いまプロ球団から・・・

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