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甲子園の光と影 あの夏の記憶。

<HERO CATALOG>2006年夏の主役 激闘を彩った個性派球児

 

今なお語り継がれる熱戦のフィナーレ。決勝再試合の名勝負が2006年夏の記憶を色濃く残し続けるが、1回戦から幾多のドラマがあったのを忘れてはならない。一投一打に思いを馳せ、涙と歓喜が交錯した熱い夏――。あの夏、輝きを放った“個性派球児”たちが、第88回の大会を熱く盛り上げた。

斎藤佑樹[早実3年/投手]
ハンカチで汗を拭う姿は『ハンカチ王子』と称され社会現象にも。2006年夏の話題をさらった斎藤佑樹を筆頭に、同年の大会はタレントぞろいだった


『激闘』『波乱』を助長


 ピンチにも動じることなく飄々と投じる。端正な顔立ちに、ハンカチでクールに汗を拭う姿から『ハンカチ王子』と呼ばれた早実・斎藤佑樹が、2006年夏の熱狂の中心にいたのは多くの人の記憶に刻まれるが、同年の大会はほかにも多くの“個性派”たちが話題を呼んだ。

 チームとして注目を集めたのが沖縄・八重山商工だ。学童チーム『八島マリンズ』で全国大会出場、中学では硬式『八重山ポニー』で世界大会3位と幼少期からともに白球を追ったナインを指導するのも、学童時代から伊志嶺吉盛監督だ。足かけ10年でつかんだ夢舞台――。走者・三塁からのヒットエンドランなど学童時代から培ってきた作戦のほか、エース・大嶺祐太を中心としたナインと指揮官の絆は感動を呼んだ。胸を打たれたのは“等身大の関係性”。気心が知れた親子のような関係は起用法に表れ、エース・大嶺が1回戦で8回途中10奪三振を奪いながら6失点を喫すると、「猛省を促す」と伊志嶺監督は2回戦で先発から外し、マウンドに上げてピンチを迎えれば、伝令に託したゲキは「死ね!」と愛にあふれるもの。指揮官を見返すべく奮起を期するナイン。チームの物語は話題を呼び、心を一つに空を見上げ、実況アナウンサーの「沖縄の空につながっています」は、名セリフとして語り継がれる。

大嶺祐太[八重山商工3年/投手]


 個の色も輝きを放つ。06年夏は、当時の大会記録を13本も上回る60本塁打が飛び出すなどスラッガーたちも華を添え、のちにプロ入りする帝京・中村晃、東洋大姫路・林崎遼ら好打者たちが存在感を示した。一方で注目を集めたスラッガーの苦闘ぶりも熱闘に拍車をかける・・・

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