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2023ドラフト特集 夢を追う注目高校球児 CLOSE-UP

前田悠伍(大阪桐蔭高・投手)『世代NO.1』の矜持「1年目から名前を売っていくための体づくりは、今からでも準備できる」

 

マウンド上で、弱みを見せない。大一番で頼りたくなる。そして、エースはチームの期待に応えてきた。高校生活最後の舞台、U-18W杯(台湾)では台湾との決勝で完投し、世界一へと導いた。プロの世界に飛び込む覚悟ができている。
取材・文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

高校入学から2年5カ月、汗を流した大阪桐蔭高グラウンドの一塁後方にあるブルペンが、最も思い出深い場所だ


主将で磨いた視野の広さ


 将来の職業として、前田悠伍が「プロ野球」を意識したのは小学6年時である。

オリックスJr.に選んでいただきまして、プロと同じユニフォームを着てプレーする中で、本気で『行きたい!』『目指したい!』と思うようになりました」

 高卒でのドラフト指名を実現させる上で、滋賀県出身である前田の頭の中には、大阪桐蔭高への選択肢しかなかった。「プロへの一番の近道というか、プロへ行くにはここしかない」。小学校1年時(2012年)に藤浪晋太郎(現オリオールズ)を擁して成し遂げた甲子園春夏連覇で衝撃を受け、中学1年時(18年)に史上初となる2度目の春夏連覇で確信した。影響を受けたのは、中学時代に在籍した湖北ボーイズの先輩・横川凱(現巨人)だ。中日根尾昂ロッテ藤原恭大らと同級生で、18年の甲子園Vメンバー。同じ左腕として理想とする投手だが、同時に尊敬する人物でもある。

「高校入学以前、横川さんと接点を持たせていただく機会があったんですが、自分の質問に対して、一つひとつ丁寧に答えてくださったのが印象的です。野球においても素晴らしいですが、人間性も抜群。高校入学後、横川さんは自分が甲子園で投げている映像を見てくださっていたようで『刺激になっている』と、関係者を通じて聞きました。感謝しかありません。人間的成長なくして、技術の進歩なし――。横川さんにあこがれ、大阪桐蔭でも3年間、学ぶことができました」

 中身の濃い、高校野球だった。1年秋からベンチ入りすると、近畿大会優勝、明治神宮大会では初優勝。2年春のセンバツ決勝(対近江高)では先発して7回1失点の勝利投手で、紫紺の大優勝旗を手にした。2年夏は8強進出で、秋の国体では優勝した。主将となった2年秋は近畿大会を制し、明治神宮大会では史上初の連覇。3年春のセンバツは4強と一歩ずつ階段を上がったが、集大成の夏は履正社高との大阪大会決勝で敗退し、自身として4季連続甲子園はならなかった。

「1年秋から使っていただいて、たくさんの大きな舞台を踏むチャンスに恵まれました。2年秋以降の主将は最初、嫌だったんですが(苦笑)、引っ張っていかないといけない立場で、やるしかない状況でした。周りを見る力、視野が広がったと思います。野球だけをやっていればいい、というのは間違った考え。西谷(西谷浩一)先生からは人としてまず心を磨かないと、野球人としてもうまく物事が運ばないことを、勉強させていただきました」

3年夏、笑顔の理由


 この夏、前田は・・・

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