週刊ベースボールONLINE

2023ドラフト特集 夢を追う注目高校球児 CLOSE-UP

明瀬諒介(鹿児島城西高・内野手) フルスイングの極意「3人とも違うタイプなので、自分自身を磨いていきたい」

 

高校通算49本塁打。投げては最速152キロとポテンシャルの高さは、高校生屈指だ。自信のある打撃を生かすため、今後は「野手一本」で勝負していく構えだ。
取材・文=岡本朋祐 写真=上野弘明

一塁ファウルグラウンド後方にある屋根の下で、鋭い視線で打撃練習に取り組む。一球一球を、魂を込めて打ち込んでいた


アルプス席で目撃した衝撃弾


 1回表。慶応高の一番・丸田湊斗の鋭い弾道が、目の前を通り過ぎていった。

「ものすごい打球でした。慶応、仙台育英とも、楽しそうにプレーしていましたね。率直に『うらやましいな』と。自分も大観衆の中で試合をしたかったです。重圧がかかり、注目されたほうが、力が発揮できるタイプだと思います」

 8月23日。明瀬諒介は一塁アルプス席にいた。夏の甲子園、決勝史上初の先頭打者本塁打に、興奮を隠しきれなかった。鹿屋中央高との鹿児島大会準決勝敗退後、地元・大阪に帰省していたタイミングだった。鹿児島城西高のチームメートが仙台育英高の選手と接点があった関係で、チケットを入手。史上7校目の夏連覇を狙った仙台育英高へ、大声援を送った。

「慶応高側、三塁アルプスの応援もすごかったです(苦笑)」。慶応高は丸田の一発で試合の主導権を握り、107年ぶり2度目の全国制覇。明瀬は本塁打の“魅力”を再認識した。

「ゲームの流れを変えるのが、ホームランです。自分も県大会で打った試合では、ほとんど負けた記憶がありません。あくまでも意識しているのは、チームの勝利につながる一打。場面によっては単打でつなぐ。この夏は、そういったケースが多かったですが、今後も本塁打にはこだわっていきたいです」

「二刀流」は今夏が最後


 大阪府堺市出身。「隣の中学校出身で親近感があります」と、オリックス森友哉にあこがれている。左と右で違うが、魅了されたのはフルスイングだ。3歳から水泳を始め「肩甲骨の柔軟性と持久力が生かされました」と、小学4年から取り組んだソフトボールにつながった。中学から野球に本格的に取り組み、大阪狭山シニアでプレー。「チームも弱くて、目立った実績は何もありません」。中学では通算6本塁打。甲子園優勝経験のある大阪の強豪校からも声がかかったが「注目されていたわけではない。出られる自信がなかった。であるならば、出場機会のある学校、府外に出ようと思いました」。

 大阪狭山シニアでは小川亨氏(元近鉄)の指導を受け、進路にあたり、2018年1月から佐々木誠監督(元ダイエーほか)が指揮する鹿児島城西高を紹介された。「自分に合う学校だと思い、決めました」。この恩師との出会いが、明瀬の野球人生のターニングポイントとなった。佐々木監督はNPB通算1581試合出場、打率.277、170本塁打、638打点。水島工高からドラフト6位で入団し、努力と根性で這い上がってきた練習の虫である。卓越した打撃指導はもとより、体づくり、トレーニングに至るまで知識が豊富で、明瀬が成長する上で最高の環境が整っていた。

「バッティングのことは、自分に役立つアドバイスが多い。調子が悪くなれば・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング