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新年始動!! 2024ドラフト特集 注目大学生CLOSE-UP

金丸夢斗(関大・投手)驚異の奪三振力誇る153キロ左腕「勝てる投手が、好投手の条件。チームが安心する存在になりたい」

 

秋3連覇の原動力となった昨秋の関西学生リーグで、圧巻の投球を見せた。6戦6勝で防御率0.35。51イニングで74Kと奪三振率は13.06の数字を残した。2年春の途中から18連勝中と負けない投手でもある。どの球団も、ノドから手が出るほど獲得したい本格派サウスポーだ。
取材・文=岡本朋祐 写真=牛島寿人

高校の先輩にあたる、山口高志アドバイザリースタッフとの縁で関大に進学。DeNA時代のカブス・今永昇太にあこがれ、背番号21を着ける


公立高校で目立ちたい意識


 サウスポーとしての原点は、父・雄一さんと8年間続いた“猛特訓”にある。

「5時45分起床。6時から1周6分の近所の周回コースを5本のランニングが日課でした。小学2年から中学3年まで、完全にやらされていましたね(苦笑)」

 雄一さんは、高校野球の審判員である。

「自分が生まれたときからやっていると、聞いたことがあります。甲子園でもジャッジしており、その影響で、自分もあのマウンドに立ちたいと思っていました」

 体が小さかった。小学生時代は「実績はなかったです」と振り返り「中学で硬式野球のクラブチームに入るのは怖かったです。体ができておらず、故障のリスクもあり、自分には無理でした」と、父の助言もあり、地元中学校の軟式野球部に入部した。雄一さんは内野手で、須磨友が丘高でプレー。「甲子園出場投手のボールを見ていますので、自分と比べることもありました。一番の衝撃は金足農高・吉田輝星投手(現オリックス)で、ストレートの軌道が明らかに違う、と」。高いレベルの会話が、お茶の間で展開された。

「中学でも実績はないです。エースとしては投げていましたが、神戸市の大会でも3回戦に勝ち進むのがやっと……」

 神港橘高は市神港高と兵庫商高が再編・統合し2016年に創立。流れをくむ市神港高は春9回、夏8回の全国大会出場実績があり、旧制・第一神港商時代の1929、30年はセンバツ連覇を遂げた伝統校。新たに誕生した同校で、金丸は3期生にあたる。入学当時は165cm50kgだった。

「声がかかるとかは一切、ありません(苦笑)。環境の良い公立校ということで、専用グラウンド、ウエートルームが充実していたのが決め手です。公立校で目立ちたい、という思いもどこかでありました」

 2年夏は救援で兵庫大会4回戦進出に貢献したものの、エースとなった2年秋は神戸地区予選で敗退。当時の最速は138キロ。入学から2年間は腰痛、シンスプリントに苦しみ「選手として、伸びなかった」と、我慢の日々を過ごしてきた。

練習試合翌日に即練習参加


 素質を開花させたのは、コロナ禍の緊急事態宣言が明けた3年生の6月だった。

「休校期間中、自宅で考えて、取り組むようになり、貴重な時間となりました。父は自分のボールを捕球するのが大変な状況でしたが、近くの公園でキャッチボールに付き合ってくれました。一発目の練習試合で自己最速を4キロ更新する142キロ。成長を実感できると、ピッチングが楽しくなって、そこから、本格的にプロを目指そうと思うようになりました」

 噂を聞きつけたのが・・・

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