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プロの荒波にもまれる“金の卵”の現在地

ロッテ アジャ井上 交流戦後の活躍に期待

 



二軍で我慢が続くも、交流戦終了が追い風に

 1965年のドラフト制導入以降では史上初となる新人選手のオープン戦首位打者。チーム64年ぶりとなる新人開幕四番など、シーズン開幕にかけて華々しい話題を振りまいた“アジャ”ことロッテ井上晴哉。しかしいざふたを開けてみると、厳しい内角攻めに苦しみ、バットからなかなか快音が聞こえない。4月12日の楽天戦(QVCマリン)で初本塁打こそ放ったものの、交流戦を前に二軍降格となってしまった。

 開幕前の大当たりはビギナーズラックだったのか? いや、そうではない。二軍合流後には7試合連続マルチヒット(うち2試合が猛打賞)をマークするなど持ち前の卓越した打撃技術を証明。6月22日現在で20試合に出場し、打率.368、3本塁打、11打点の成績を残している。

 すぐに一軍から声がかかってもおかしくはない好調ぶりだが、ネックとなっているのがポジションだ。NPB最重量の114キロの体型ながらも足、守備ともに決して悪くはないが、守れるのはファーストだけ。出場機会はスタメンか代打に限られており、井口資仁、ブラゼル、サブローら実績のある選手が並ぶ一軍のファースト、指名打者に割って入るのは難しい。

 チームに余裕があれば若手を試すチャンスもあるだろうが、6月は一軍の月間打率が.294と好調な一方で防御率が5.48と低迷し、5勝8敗と負け越し。大嶺祐太が初昇格するなど変動の大きい投手陣に比べ、野手はベテランの経験に頼る事情がある。

 我慢のときが続くが、交流戦終了は追い風となることだろう。DH制が完全復活することで、出場するチャンスが若干ながら上昇するからだ。5月30日には埼玉県さいたま市内の二軍施設を訪れた玉ノ井親方(元大関栃東)から四股踏みトレーニングの指導を受け、「何かをつかんで1日でも早く関取(一軍選手)になりたい」とユーモアを見せた。その明るいキャラクターは、苦戦が続くロッテの救世主となるにふさわしい。
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