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フレッシュオールスターゲーム2014レポート

個性あふれるスター候補が長崎で躍動

 

MVPに輝いたロッテ・井上は決勝ソロを含む計2本の本塁打を放ち、3安打3打点の活躍。ロッテの四番候補の大砲が、堂々のプレーを披露した



プロ野球フレッシュオールスターゲーム2014が、7月18日に長崎・長崎県営野球場(ビッグNスタジアム)で行われた。イースタンリーグ選抜・松井裕樹楽天)、ウエスタンリーグ選抜・若松駿太中日)の両先発で始まった試合は、点を取り合う白熱した展開となるも7対6でイースタン選抜が昨年に続き勝利した。通算成績を19勝27敗5分とし、最優秀選手賞には決勝ソロを含む2本塁打のイースタン・井上晴哉(ロッテ)が輝いた。
文=高橋和詩(スポーツライター) 写真=高原由佳

序盤から点を取り合う白熱の展開

 未来のスターが躍動したフレッシュオールスターゲーム。。今年はイースタン、ウエスタン両リーグともに個性豊かな選手がそろい、各球団のホープたちが球場を沸かせた。

 イースタンの先発は楽天の松井裕(桐光学園高)。捕手を務めた西武・森(大阪桐蔭高)とは昨秋の高校日本代表以来のバッテリーだ。注目の初回は2安打1四球1失点と悔しい表情も見せた松井裕だが、最少失点で抑えた。

イースタン先発の楽天・松井裕(右)は西武・森と高校日本代表以来のバッテリーを組んだ。1失点した投球を振り返り「しっかり押さえないと先発は務まらない」と反省



 援護を受けてマウンドに上がったウエスタン先発の中日・若松(祐誠高)だったが、安打と四球で同点とされると、二死二塁からロッテ・井上(日本生命)に逆転2ランを浴びる。だが、1点を返し迎えた3回、二死一塁からオリックスの奥浪(創志学園高)が左翼席への本塁打で逆転。

 しかしその裏、初回に二塁打を放っていたDeNA・関根(東邦高)が内野安打と盗塁で一死二塁の場面を作ると、三番・森が同点となる適時二塁打。さらに直後の西武・山川(富士大)がこの日早くも3本目となる逆転2ランでイースタンが再びリードする。

 4回にはヤクルトの大場(日立製作所)の押し出し四球で1点を返されるも5回にロッテ・黒沢(城西国際大)、6、7回はDeNA・柿田(日本生命)がいずれも三者凡退に抑える圧巻の投球でリードを守った。

 ウエスタンも4回以降は昨季一軍で25試合の登板を果たした、オリックス・森本(BCリーグ/福井)を筆頭に、広島・西原(今治北高)、中日・鈴木翔(聖隷クリストファー高)、阪神・山本(王子)が1イニングずつを危なげないピッチングでゼロ封リレーとする。

ウエスタン6番手で登板した中日・鈴木翔は一人のランナーも出すことなく三者凡退で抑えた



 再び試合が動いたのは8回、イースタン6番手のロッテ・吉原(日本生命)が二者連続三振で簡単に2アウトを取るも、二塁打と四球でピンチを招くとオリックス・武田(自由ケ丘高)に痛恨の同点タイムリーを許し、試合は振り出しに戻った。しかしその裏、初回に本塁打を放っていた井上が、この回先頭で打席に立つとフルカウントからソフトバンク・笠原(福岡工大城東高)の直球を振り抜き、左翼席上段へたたき込むとこれが決勝打に。

 1点リードの9回には今季支配下登録され、すでに一軍での登板も果たしている巨人・土田(四国・九州IL/愛媛)が3人でピシャリ。両リーグ合計20安打、4本塁打の打ち合いは、特大のホームランで幕を閉じた。

 勝利したイースタンを率いたヤクルト・伊東監督は「ドキドキしていました」と最後まで結末が見えない試合展開を振り返り、「打撃が売りのチームで、長打力に期待していたので、そのとおりになりました」と安どの表情で語った。

 最優秀選手賞に輝いたのは決勝ソロを放った井上。1試合2本塁打は20年ぶり5人目の快挙となった。井上は「(2本の本塁打は)気持ち良かったです。ここ(8回の場面)で打たないとまずいなと思っていたので、打てて良かったです」と笑顔を見せた。優秀選手賞には同じく本塁打を放った山川と奥浪が選ばれ、山川は「サイコーでした。負けたくないと思っていましたが、やっぱりお兄ちゃんだなという感じ」と私生活でも仲が良く、お兄ちゃんと慕う井上に脱帽した。奥浪は「(ホームランは)素直にうれしかった。入ってくれてよかったです」と話し、「僕も2人の弟になりたい」と笑いを誘った。

 プレーでも笑顔でも、長崎のファンを沸かせたスター候補たち。一軍で輝く日もそう遠くはないだろう。

最優秀選手賞の井上(写真中央)には賞金100万円が、優秀選手の西武・山川(同右)、オリックス・奥浪には賞金50万円がそれぞれに送られた。計314キロの巨漢から飛び出す豪快なアーチに会場は沸いた

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