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2014球界ニュースフラッシュ

鷹の先発投手陣に大きなプラスワン

 

7回被安打3、1失点の内容は先発投手陣のコマ不足を嘆く秋山監督を安堵させるものだったに違いない


難病を克服した大隣が422日ぶりの白星


 渡されたウイニングボールをそっとお尻の右ポケットにしまった。ソフトバンクの先発投手陣に頼りの男が帰ってきた。

 2012年に12勝を挙げた左腕・大隣憲司が7月27日のオリックス戦(ヤフオクドーム)に先発し、今季初勝利。「1日でも早くこのマウンドに戻ってくると思いながらやってきた」と鷹の祭典のイベント用の特別ユニフォームで赤く染まったスタンドを見上げて胸を張った。

 国指定の難病「黄色じん帯骨化症」の診断を受け、昨年6月21日に手術を受けた。昨季はわずか3勝で戦線を離脱。「左足がしびれて感覚がない。熱いとか冷たいっていう感じすらない」という症状に悩まされ、「ガクガクって崩れ落ちてしまいそうで、瞬間的な動きができなかった」のでは、手術の選択も致し方なかった。

 しかし、術後も症状の改善は見られるものの完治したわけではない。「付き合っていかなければならないもの」と覚悟を持って受け入れている。

 今季は三軍で12試合、ウエスタン・リーグで6試合を投げながら復帰への段階を踏んできた。7月11日に一軍に昇格。13日の日本ハム戦(札幌ドーム)の中継ぎで術後初の一軍マウンドに上がった際には「復活ではなく、復帰。先発として1球でも多く投げたい」と語った。

 そして昨年5月31日の広島戦(ヤフオクドーム)以来、422日ぶりの今季初先発は「一番です」という本拠地のマウンド。7回被安打3、1失点の内容に「このマウンドで自分らしいピッチングができてよかった」と特別な108球を振り返った。

復活のマウンドに「投げるのに必死でそういうのを考える暇もなく、一生懸命腕を振っていた」と大隣



 これでチームはオリックスとの首位攻防3連戦3連勝で、1.5ゲーム差をつけて首位に立った。秋山幸二監督が不安視する先発陣に一コマ加わったことはそれ以上に大きな意味がある。「ここからスタートを切って、頑張りたい」。大隣の言葉どおり、ここからチームはVロードをひた走る。
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