2014.8.28 Giants×Tigers 東京ドーム
写真=桜井ひとし
崖っぷちに仁王立ち

　勝利の瞬間、両腕を天高く突き上げた。8月28日、2位・阪神を本拠地・東京ドームに迎えた一戦で、巨人先発の澤村拓一が、1年2カ月ぶりとなる完封勝利をマーク。最後は鳥谷敬をこん身のストレートで見逃し三振に斬って取り、超満員のスタンドを沸かせた。

　2011年の加入から2年連続2ケタ勝利も、昨年は5勝止まり。今季も、右肩違和感で出遅れ、7月6日の一軍初昇格後も1度二軍再調整を命じられるなど、1勝(3敗)と苦しんでいた。この日の試合の結果次第では二軍再々降格もあり得たが、最速152キロを計時したばかりか、ストライクゾーンを広く使う、豪快かつ慎重な投球でわずか2安打10奪三振のシャットアウト。

　打ってもタイムリーでチームを勢いに乗せた澤村の働きに、原辰徳監督も「今日に関しては見事。90パーセント以上の力を出し切った」と称賛を惜しまなかった。崖っぷちに仁王立ちで耐えた男の、逆襲を予感させるワンカットである。