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プレミア12総力特集
準々決勝・プエルトリコ戦回顧 エース&四番がそろい踏み

 

 中4日で準々決勝先発のマウンドに立った日本のエース・前田健太にとって、プエルトリコは因縁の相手だ。2013年のWBC準決勝で対戦。激闘の末に敗戦投手となっており、「自分が最後、投げた試合で敗戦投手となってしまったので……」と意識しないわけにはいかなかった。それでも「とにかく大事な試合。何とか無失点で終わりたかった。監督に何回も名前を挙げてもらっていましたし、期待に応えたかった」。その言葉どおり、ボールには力がこもり、7イニングを全力で飛ばした。

7回を4安打無四死球7奪三振無失点と圧巻投球の先発・前田。プエルトリコ打線に付け入るスキを与えなかった



 まずは初回、二死から三番・ソーンに左前に安打を許すも、四番・フェリシアーノを渾身の150キロ直球で空振り三振。3回には八番・パントーハ、九番・ロペスに連打、続くシルバの犠飛で一死一、三塁とピンチを迎えるも、ここで冷静にギアを上げられるのが前田の魅力。二番・メンデスに対し、2ストライクから殺気を込めた149キロ高め釣り球で目線を上げた後、最後は外角低めボールゾーンに136キロチェンジアップで芯を外してバットを真っ二つ。この力の入れ加減、抜き加減が絶妙。この場面は投ゴロ併殺とし、この日、最大のピンチを切り抜けると、これ以降、7回までわずか1安打の完ぺきな投球。セットアッパーの則本昂大へ、最高の形でバトンを託した。

 エースの力投を受けて、四番・中村剛也をアクシデントで欠く打線も着実に得点を重ねる。特に代役四番となった筒香嘉智だ。「自分のリズムで打席に入れている」と筒香は、初回、一死一、二塁で四番初打席に立つと、3ボール2ストライクのフルカウントから外角137キロシュートを逆らわずに三遊間へ。「状況によってチーム打撃に徹するのが僕のスタイル」と気負わず、チームに価値ある先制点をもたらした。

先制点は故障の中村剛に代わって四番に入った筒香のバットから。1回一死一、二塁で左前打を放ち、さっそく期待に応えた



 この1点が一発勝負の重苦しい緊張感に満ちていたベンチの雰囲気を和らげる。3回、平田良介の二塁打で追加点を挙げ、4回には坂本勇人が16打席ぶりの安打となる2点適時二塁打で勝負あり。最終回に3点を失ったが、13安打9得点と完勝し、19日に東京ドームで行われる準決勝へとコマを進めた。

前日まで16打席連続無安打の坂本だったが、この日は2本の適時打で3打点。勝利の使者となった



プエルトリコは9回一死一、二塁で四番・フェリシアーノが増井から3ラン。完封ペースから一矢を報いた

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