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特集・日本生命野球部の軌跡
日本生命・十河章浩監督インタビュー 強豪復活の舞台裏

 

昨年の都市対抗で、自身が選手だった97年以来となる優勝に導いた、日本生命の十河章浩監督。4度目の栄冠を手にした日本生命は、日本選手権でも12大会ぶり3度目の頂点に立った。就任2年目にして史上3チーム目の「夏秋連覇」を成し遂げた十河監督にその舞台裏を振り返ってもらいながら、指導において大事にしていることや、日本生命野球部がどうあるべきか、などについて話をうかがった。

普段通りの力を発揮するためにメンタルトレーニングを導入


都市対抗優勝を遂げた前年(14年)、日本生命は同大会で2年連続となる初戦負けを喫している。それまで3回の優勝を誇る“社会人野球の名門”にとって、屈辱的な敗戦であった。するといったん帰阪した日本生命は、十河章浩監督の指示で再び上京。悔しさ、羨ましさを胸に、チーム全員が自費で決勝を観戦した。

 決勝を観戦したのはメンタルトレーニングの一環でした。本来は自分たちが立つべき舞台を「生」で見ることで、そこで戦っている姿、日本一になっている姿をイメージしてほしかったんです。試合前の練習から閉会式まで、すべて見させました。1年後に決勝の場にいたのは、イメージ通りでもあったわけです。メンタルトレーニングを始めたのは、私が監督に就任した14年からです。よく「心技体」と言いますが、見たところ、技術と体力では他チームに劣っていなかった。あとは「心」、つまりメンタルを鍛えれば、日本一になれる、と。実際、メンタル面に課題があった藤井貴之も、トレーニングによって改善されたところ、昨年の都市対抗で最高殊勲選手賞にあたる「橋戸賞」を受賞しています。私は野球だけでなく、あらゆるスポーツはこのメンタルによって左右される、と思っています。私の選手時代もメンタルトレーニングを取り入れた時期がありましてね。92年、97年の都市対抗優勝はいずれもその成果のように思います。

 メンタルトレーニングの主目的は、本番で普段通りの力を発揮するためです。例えば都市対抗の決勝のとき、決勝だからと特別なことをしたら勝てません。勝つのは普段通りのプレーができたチームです。ただ、練習でやっていることをそのままゲームで出すのは、そう簡単ではない。そこでメンタルトレーニングが必要になってくるわけです。その一方で“普段”も大切です。本番で普段通りの力を発揮できても、勝てなかったら、普段の練習は何だったのか、となりますからね。常に実戦を見据えた練習をしています。練習のための練習はしていないつもりです。また、私は生活のすべてが「結果」の呼び水になると考えているので・・・

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