週刊ベースボールONLINE

第40回日米大学野球選手権大会

侍ジャパンが底力!「一丸野球」でサヨナラV!!

 

2大会連続18度目の優勝、日本開催15連覇を達成!!


日本は開幕2連勝で優勝に王手をかけてから2連敗。Vをかけた第5戦[静岡]では、大会史上初のタイブレークをサヨナラで制し、18度目の優勝を飾った。1981年から日本開催では15連覇と、最後に意地を見せた


 勝ったほうが優勝の第5戦(7月17日)を控えた横井人輝監督(東海大)は、優勝プランを披露していた。

「3人で完封してもらいたい」

 第4戦後の記者会見だった。指揮官は日本のマウンドを、3投手に託すことを明言した。来年のユニバーシアード(台湾)まで任期2年で指揮を執る横井監督は今大会、全5戦で先発を予告。第5戦は第2戦で7回無失点で勝利投手となった主将・柳裕也(明大4年・横浜高)を先発に指名。2番手には第1戦で7回1失点の佐々木千隼(桜美林大4年・日野高)、そして最後は第1戦、2戦で“セーブ”を挙げている田村伊知郎(立大4年・報徳学園高)が締める、必勝パターンを描いた。

 今大会、日本は開幕から連勝で優勝に王手をかけたが、第3、4戦と連敗しアメリカが逆王手。初黒星を喫した第3戦後、横井監督は「アメリカが起きる前に……今日しかなかったかな……」と、不吉な発言をしていた。指揮官が危惧したとおり、アメリカは目を覚まし、第4戦は2本塁打を含む10得点と快勝している。

 日本は4試合で5得点。チーム打率.158で、長打は二塁打4本と明らかな得点力不足だったが、第5戦は奮起する。金メダルを獲得した昨年のユニバーシアード(韓国)から唯一の野手経験者・佐藤拓也(立大4年・浦和学院高)を中心に「泥臭く、後ろにつないでいこう」と、野手ミーティングで結束を高めた。「このチームで主将をやれる幸せを噛みしめて投げたい」。先発・柳の力投に、打線はこたえる。1回裏、四球を足がかりに二死三塁からの暴投で先制。「粘ることが大事」と、横井監督が連呼していた相手のミスを突く形でリズムをつかむと、2回裏は二死走者なしから辰己涼介(立命大2年・社高)の中越えソロ。さらに、5回裏には佐藤の2点適時打で4対0と主導権を握る。まさに、理想の展開だった。

まさかの同点グランドスラム、一人のミスを全員でカバー


 しかし、シナリオどおりにいかないのが野球だ。柳は5回途中無失点と粘り、2番手の佐々木は7回途中まで投げ、一死満塁で横井監督は切り札・田村を投入。二死を奪ったが、続く三番・スコウグに同点グランドスラムを浴びる。ここまで全球ストレート。カウント2ボール2ストライクからの勝負球を、右翼席へ運ばれた。強気の攻めが裏目に出たが、真っ向から挑んだ田村を責めることはできない。日米決戦は4対4のまま9回を終え、大会史上初(前回の第39回大会から採用)のタイブレーク(無死一、二塁)に突入する。

「人のせいには絶対にするな、と言ってきた。監督の俺がすべての責任を取る、と。田村の被弾を、全員でカバーすることができた」(横井監督)

 アメリカは10回表、犠打で一死二、三塁。ここで左腕・齊藤大将(明大3年・桐蔭学園高)が救援し、左打者2人を空振り三振に斬る。その裏、日本は犠打と四球で一死満塁から島田海吏(上武大3年・九州学院高)の犠飛でサヨナラ勝ち。侍ジャパンが最後に底力を見せる。2大会連続18度目の優勝。日本開催では15連覇だ。

「選手が一丸となって戦い『これぞ、代表の試合』ができた。素晴らしいチームに成長した。感動しました!」

 優勝インタビューで涙を見せた横井監督は静岡の夜空を3度舞い、メンバーとともに喜びに浸った。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング