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CS進出争いのキーマン

オリックス・山岡泰輔インタビュー 胸に刻む“信”の文字 「負けないことが一番大事。だから10勝にも満足感はない」

 

負けるわけにはいかない――。投手リーダーを託され、開幕投手も務めた今季はチームで唯一、先発ローテを守り続け、キャリアハイとなる2ケタ10勝をマーク。ただ、自身の投球に「納得はしていない」ときっぱり言う。逆転でのCS進出へ。チームを背負う右腕が、最後の最後まで“信”の文字を心に刻んで腕を振る。
取材・構成=鶴田成秀 写真=BBM ※記録、情報は9月5日現在


不変の目標


 長いイニングを投げて貯金を作る。開幕前に掲げた数字も、あくまで目安に過ぎない。“1試合”で考えれば、スコアボードに“0”を刻み続け、最後までマウンドに立つという変わらぬ目標がある。

――すでに今季は10勝を挙げ、7月は3勝をマークして月間MVPも受賞。先発陣をけん引しています。

山岡 かなり打線に助けてもらって点を取ってもらっているので、勝ち星が付いてきているだけ。負けも消してもらっているし、勝ちも付けてくれている。それが今の成績だと思っています。僕はたまたま運がいいだけ。だから、自分の投球自体に手応えはないんです。

――開幕前に「貯金をつくりたい」と言っていました。ここまで10勝3敗と貯金を作れていることには。

山岡 それも野手に助けてもらっているのが要因ですから。だから10勝していますが、やっぱり満足はしていないし、納得もしていない。それに、勝つことよりも、負けないことが大事だとも思うんです。だから、どちらかと言えば10の勝ちより、負け数が3と少ないことのほうがいいこと。これも消してもらった負けが多いですけどね。

――今は課題ばかり、と。

山岡 課題はシーズンが終わってみないと分からないところもありますけど、投げていく中で1試合1試合、必ず課題は出てくる。そこを埋められるかどうか。その繰り返しで、今も過ごしているという感じです。大きく“何かを変えた”“変わった”ということもないですから。

――とはいえ、今年は昨年よりもスライダー、カットボールを多く投げているように見えます。

山岡 増やそうと意識したわけではないんです。というより、今年はチェンジアップとフォークの落ちがあまりよくないんですよね。その代わりにスライダー、カット(ボール)が良い感じで滑って曲がってくれるんです。だから、投球の割合が、そっち(スライダーとカットボール)に行きがちになっているのかな、と。僕自身も投げていて納得のいくボールを投げられる球種なので、自然と割合が増えたんだと思います。

――自分の感覚の結果が表れているのですね。

山岡 投げている中で、良い曲がり、自分が思い描いているどおりに曲がってくれるボールを中心に配球を組み立てるのが普通だと思うんです。だから、増えているのかな、と。それが僕の感覚なんだということです。

――中日からトレード加入した松井雅人捕手と、7月以降はバッテリー組んでいます。今までと違う捕手と組むことで「違う自分が見つかる」と話す投手もいますが。

山岡 左打者の内角にスライダー、カットボールを要求されたり、今までとは違う使い方があるんだな、と思うことはありました。でも、それは・・・

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