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ダンプ辻のキャッチャーはつらいよ

短期連載ダンプ辻コラム 第12回「新庄のプロ初ヒットは僕の一言からかもしれんのです」

 

91年の新庄。野球センスの塊だった


新幹線で隣に


 最近、何だか暇なんで、ようテレビを見るんですが、新庄(新庄剛志)が現役に復帰したいと言ってるようですね。あいつ、今いくつでしたっけ? 48歳? ふ〜ん。まあ、いいんじゃないですか。新庄らしくて。

 あいつは僕が阪神のコーチ時代に入ってきた選手です。僕は、昭和63年(1988年)、監督になった村山(村山実)さんに呼ばれて阪神の一軍コーチになったんですが、次の年が二軍で、中村(中村勝広)が監督になった平成2年(90年)に、また一軍コーチになった。

 新庄は、この平成2年入団かな。だから1年目の印象はあまりないんですが、次の平成3年(91年)、僕はまたまた二軍コーチとなりまして、そこで初めて、じっくり見たという流れです。なんでそんなに一、二軍を行ったり来たり? まあ、それがタイガースということじゃないですか(笑)。

 二軍で一緒と言っても、こっちはバッテリーコーチだから、そっちの世話でいっぱいいっぱいです。直接、新庄に何か指導したわけでもないんですが、印象は強かった。

 はっきり言って、「こいつバケモノだな」と思っていましたから。あの年、登録は外野だったかもしれんけど、ショートをやっていて、あるとき、シートノックで僕がファーストに入ったんですよ。選手が足りんかったんでしょうな。

 それで見てたら、新庄が無茶苦茶、深く守る。コーチに「おい、シン、前に出てこい。深過ぎるよ」と言われてもむにゃむにゃ言って動かない。最初は「打球が怖いんかな、こいつは」と思ったけど違ったみたい。

 あれは、間違いなく、自分の肩をアピールしたかったんだろうね。

 あの送球、すご過ぎましたから。最初、低くて、ワンバウンドするかと思ってミットを下に構えたら、そこからうなりを上げ、ぐうっと伸びてきた。びっくりした。飛び上がって何とか捕りましたが、慣れてない人なら体にぶつけたんじゃないかな。あんな内野手の送球、その前もその後も見たことない。

 新庄との話には続きがありましてね。これを言うと、テレビドラマみたいで「ウソでしょ」と言われそうだけど・・・

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