兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅(ソフトバンク)と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちにプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第37回です。 常磐大プロ1号
大きく空気を切り裂く音を立てながら白球がキャッチャーミットに突き刺さる。
「誰? あの投手は? この大学は有名?」
失礼ながら、そんな会話が僕らのベンチ内で何度もありました。しかも1人ではありません。試合後半から2番手としてマウンドに上がった投手に対してもまた皆、同じ反応を示しました。あの日、横浜日吉にある慶大野球部のグラウンドで感じた衝撃は今でも鮮明に覚えています。
常磐大の小野寺力と久保田智之。ともに2002年のドラフトでプロの世界へと進んだ松坂世代を代表する投手です。茨城県に位置する地方大学ではありますが、小野寺はドラフト4巡目で
西武ライオンズへ、久保田はドラフト5巡目で
阪神タイガースへと進みます。常磐大から直接、プロ野球界へ進んだ第1号が彼ら2人であり、決してエリート街道を走ってきていない2投手の活躍は当時、僕らの世代でも大きな話題を呼んでいました。地方(といっても、埼玉)の公立高から大学でもプレーを続け、プロの世界へと進む。このストーリーは私個人的にも大きなロマンがあり、非常に注目していました。
今回、私は西武、
東京ヤクルトスワローズで活躍した、小野寺力に話を聞きました。
「高校3年生の最後の夏、聖望学園に延長11回サヨナラ負け。自分らしい終わり方だったように感じました」
98年の夏、80回の記念大会だったため、強豪ひしめく埼玉は西と東に分かれ、小野寺が通った埼玉県立鴻巣高は西埼玉のエリアに入り、準々決勝まで勝ち上がる快進撃を見せます。しかし・・・
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