すでに「生ける伝説」と呼べる存在。だが、昨季の苦闘に続き今季も開幕から苦しんだ。レギュラーはく奪、世代交代の声が上がる中で、それでも遊撃のポジションにこだわり、己を磨き、ようやく浮上のきっかけをつかもうとしている。34歳の史上最強遊撃手の歩む道程は、まだ終わらない。 写真=BBM 復活目指し苦渋の決断
何度もそうしてきたように、最後は自らの力で壁を突き破った。
再起を期した史上最高の遊撃手は、プロ17年目にして、かつてないほどにもがいた。昨季までの16年間でNPB現役最多の2205安打を放ってきた右打者にとって、たった1本のヒットがはるか遠くにあるようだった。
「結果を出せるようにすることがすべてだと思う。自分でなんとかしないといけない。それに尽きる」
4月6日の
DeNA戦(横浜)。開幕からの連続打席無安打は「19」にまで伸び、零封負けを喫した打線のブレーキになっていた。“どん底”で絞り出した言葉こそ、百戦錬磨の背番号6が貫いてきた哲学でもあった。
試練の始まりは昨シーズンだった。開幕直前に左腹斜筋筋損傷で出遅れた。5月に右膝内側側副靭帯の損傷、7月には腰痛と2度の長期離脱も含め、3度の故障が“鉄人”を襲った。
「すごくコンディションに苦しんだ1年だった。昔ならしなかったんじゃないかな、というケガもありました」
19歳にして正遊撃手の座をつかんだ2年目の2008年以降では最少となる83試合出場、5本塁打にとどまった。19年には40本塁打を放ったこともあるが、「練習でも打球が飛ばないとか。正直、小手先でヒットを打ちにいくことも多かった」と自分の打撃を見失った。チームも5年ぶりのBクラスとなる4位に転落。チームとともに心機一転を図るべく・・・
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