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金子誠内野手 #8

金子誠 いぶし銀の職人が積極的離脱から巻き返しへ

 

自分との闘い。19年目のベテラン・金子誠が山あり谷ありの1年と向き合っている。6月26日の楽天戦(東京ドーム)で左ヒザ後十字じん帯を痛め、翌28日に出場選手登録を抹消。幸いにして軽度だったため、近日中の復帰が見込まれているが、呼応するようにチーム成績に低迷気配が漂ってきた。リハビリに励む悶々とした日々の中でジレンマを抱えながら、再度の出番に備えている。

野球の神様のいたずらのような試練の連続だ。5月3日のソフトバンク戦(札幌ドーム)の練習中に左ふくらはぎを痛め、翌4日に抹消。ブランクを経て戦列に戻ってきた直後に、また悪夢に襲われた。10年前には右ヒザのじん帯を断裂したが、その時以来の程度によっては選手生命にも関わる故障。「経験を生かして痛みに慣れる」との前向きさが救いだ。

存在価値を見せているからこそという背景もある離脱だ。栗山監督は今回の軽度の故障でもあえてストップをかけた理由を、こう説明した。「痛みを我慢すればやってもいいくらいではあるけど、違うケガにつながるのが嫌だった」。近年は金子誠に代わる若手の遊撃手の台頭が、チームの課題の1つだが、後継者が出てきていないのが現状。他の追随を許さない力を誇示していることの裏返しでもある。

3年ぶりのペナント奪回へ開幕から好スタートを切り、シーズンは中盤から佳境に突入する。勝負どころをしのぐためのキーマンの1人になる。「積極的離脱」の措置で、充電してカムバックした後の再度のアクシデントはチーム、自身にとっても大きなダメージになる。数々の古傷を抱えている満身創痍の中での戦い。金子誠の真価が問われるのは、これからだ。
オーロラビジョン

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