身長168センチの伏兵・
野中信吾が驚異のスピードでグラウンドを駆けめぐる。前半戦だけで今季42試合に出場しチームトップの10盗塁を記録。「僕に求められているのは盗塁、ホームにかえってくること。常にベストの状態で一瞬の勝負にかけている」。勝負どころで抜群のスタートを切り、チャンスを広げるキーマンとなっている。
象徴的だったのは5月25日の
広島戦(ほっと神戸)。1試合3盗塁を記録し、4打数2安打2得点の大活躍。延長10回には無死一塁から盗塁を決め、
李大浩の中前打でサヨナラのホームを踏んだ。「一発勝負でしたから。チームの勝敗を背負うプレーだったけれど、そこで決めなければ意味がない」 昨年までは足のスペシャリストとして代走要員にとどまっていた。
09年から11年までの3年間は55試合に出場し安打はゼロ。だが、今季はすでに19安打を放ち、坂口がケガで離脱したこともありスタメン出場も26試合と一気に増加。今やチームになくてはならない存在となっている。
もともとは遊撃手、二塁手が定位置だった内野手だが、今季からは出場機会を求め外野手登録。慣れないポジションにも「意外と違和感はないですね。ないのは経験だけで内野で培った足の運び、ボールを捕ってから素早く送球する部分とか、かなり役に立っています」。
抜群のセンスで「経験」を補い、失策は「0」で補殺もチームトップの「4」と輝きを見せる。「僕の立場はレギュラーじゃない。毎日が勝負。与えられたところで結果を残さないと生き残れない」 スタメン、代走、守備固めとマルチに活躍する野中は、チームにとって貴重な戦力だ。