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千賀滉大 投手 #41

敗戦ムードを変えた剛速球

 

 出番は突然、やってきた。1歳下の武田が5回途中KOされた、3月31日の楽天戦(ヤフオクドーム)。6回に3番手でマウンドに立った千賀滉大は、敗戦濃厚ムードだった球場の雰囲気を一変させた。6回一死、迎えたのはメジャー通算434本塁打のジョーンズだ。その初球に投じたのはボール球だったが、自己最速へあと1キロに迫る153キロを記録。最後は1ボール2ストライクから151キロ直球で左飛に仕留めた。「1イニングずつだと思い、思い切り投げた結果です。最初は良かったんですが、最後はバテてしまって……」。6、7回は無安打に抑えたものの、全力投球のツケがきた8、9回には3失点し、終わってみれば、3回1/3を3失点。課題も見え隠れした。

 ただ、開幕一軍で投げられることが、何よりの収穫だ。昨季は天国と地獄を同時に味わった1年だった。12年4月に育成選手から支配下登録され、現オリオールズ・和田の背負った21番を与えられるほど期待された。だが、2試合に先発したものの未勝利。終盤には右肩痛を発症し、秋季キャンプは不参加。オフには背番号が41へ変更となる悔しさを味わう。

 巻き返しを図った今季、春季キャンプでは途中からA組(一軍)に合流すると、紅白戦2試合に先発し、合計5イニングを無失点とアピール。首脳陣は最速154キロの直球を生かす場所を考えていた。そして、発熱によりオープン戦中に一時脱落はあったものの、リリーフとして、開幕一軍をつかみ取ったのだ。「いま、与えられたポジションで自分のできる投球をしていきたい」。千賀の雪辱のシーズンが、始まった。

オーロラビジョン

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