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帆足和幸 投手 #47

チームを救う左腕の経験

 

 鮮烈と表現される投球ではなかった。ヒーローインタビューもやんわり固辞。それでも西武時代の2011年9月29日の楽天戦以来、実に566日ぶり、ソフトバンク移籍2年目で初勝利だ。「5回しか投げていないけど、野手が打って、つないでくれて……。こういう試合もいいな、と。僕にとってはすごく重い1勝です」。4月17日、敵地でのナイター・楽天戦。帆足和幸の感慨は深かった。

 ピンチの連続を、のらりくらりとかわした。初回、先頭の聖澤に遊ゴロ失策で出塁された。女房役・山崎が二盗を阻んでくれたが、続く高須は左翼フェンス直撃安打。何とか無失点で切り抜けた。2回以降は毎回の四球。「ムダな四球が多かった」と反省したように、内容も良くなかった。3回以降は必ず得点圏に走者を背負った。

 窮地を救ったのは代名詞のパームだった。全86球中、約4割にあたる34球がパーム。打者21人で決め球に16度も使った。「有効に使いながら投げられた。粘り強く投げるのが僕のスタイル」。西武11年間で通算75勝。投球術は健在だった。

 FAで請われた昨季は、左肩痛もあって登板は1試合のみ。巨人へFA移籍した杉内の穴を埋める左腕――。そんな期待を背負いながら、応えられなかった。「歯がゆさはあったけど、引きずっても一緒。一日一日が勉強と思って過ごしてきた」。迎えた今季も、春季キャンプは肩の状態への配慮もあり、B組(二軍)スタート。オープン戦でのアピールも実らず、開幕を二軍で迎えた。ただ開幕1試合に投げただけで、メジャー通算108勝のパディーヤが右前腕の張りで離脱。そうした投手事情にあって、頼もしいのはベテランの経験だ。

オーロラビジョン

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