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中東直己 外野手 #00

マルチロールからラッキーボーイへ“進化”

 



 必要不可欠な存在だ。中東直己はムードメーカーから、ラッキーボーイへと“進化”している。代走要員、第3捕手、いじられ役――。これまでは、ベンチを温めることが多かったが、確実に立ち位置は変わってきている。

 転機が訪れたのは5月8日のDeNA戦(マツダ広島)だ。今季初のスタメン出場で、1回一死から中前打を放つと、二盗とタッチアップで三塁へ進み、廣瀬の中前打で先制のホームを踏んだ。さらに、5回無死一塁からはセーフティーバントを決め追加点の起点に。チームの連敗を5で止めたヒーローは、本拠地初のお立ち台で「小さいころから、いつかは立ちたいと思っていた」と興奮して語った。

 6日後の交流戦・ソフトバンク戦(同)では、“ビックリ弾”を放った。1回一死から、ソフトバンク・大場の内角寄り140キロの真っすぐをたたいた。グングンと伸びた打球はライトスタンドへ。「もしかしてと思ったけど、打球が見えなかった。何が起こったのか分からなかったけど、最高に気持ち良かったです」

 プロ7年目で初の本塁打。初めての快感の味を振り返った。この試合は猛打賞の活躍で、野村監督も「チームに勇気を与えるね」と絶賛。初めてのお立ち台から、わずか1週間で3度目のヒーローになった。

 20日の同・ロッテ戦(QVCマリン)では、飛球を見失い敗戦につながるミスを犯した。だが、翌日の特守では、枯れた声を野村監督から「カラオケでも行ったのか?」といじられ、周囲を和やかな雰囲気に包んだ。これも人柄がなす技だろう。先発出場の喜びを知ったラッキーボーイは、まだまだグラウンドで暴れ回る。

オーロラビジョン

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