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中田翔 内野手 #6

パ最強の右スラッガーとして夢舞台へ

 



 パ・リーグの看板を背負って臨む。中田翔がファン投票、監督推薦などでの出場を確実視されている。5月30日現在で13本塁打は単独トップ。並走していたアブレイユを抜き去った。リーグを代表、No.1スラッガーへの道を一気に究めつつある。日本球界で希少価値の高い、正統派の右の長距離砲。派手な一発を期待する場だけに欠かせない存在だ。

 今回は譲れない一戦がある。7月19日の第1戦は札幌ドーム。パ・リーグの指揮官は栗山監督が務める。中田には縁深いと感じる要素が十分にある。11年から昨季まで2年連続で出場権を獲得し、ファンを沸かせているが、待望のアーチはいまだお預け。かつてスターたちに囲まれ「心が折れそう」と重圧に負けそうとジョークを飛ばしたこともあった。今回も“顔”の1人として力が入る。

 高かった知名度がさらに上昇した1年だけに名実ともに一流となった証を示す格好の機会になる。第3回WBCでは、侍ジャパンの野手最年少で代表入り。レギュラーを勝ち取り、日の丸を背負って準決勝まで進んだ。日本中の野球ファンの視線を一身に集めた国際大会でさらに存在価値を高めた。巨人・阿部ら歴戦の先輩スラッガーたちにもまれ、感性も磨かれて、今季の躍進にもつなげている。

 故郷広島での5月28日の広島戦(マツダ)では、背中も押されていた。同戦は降雨中止になったが試合前の練習で、侍ジャパンの山本浩二監督に再会。成長に目を細めて「いつも新聞を楽しみにみているからな」と激励された。かつて本塁打を量産した右の強打者で郷里の大先輩。中田は「頑張ります」とさらに飛躍することを誓った。夢の祭典も恩返しの舞台だ。
オーロラビジョン

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