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矢貫俊之 投手 #33

持ち場を選ばず有事に備える頼れる右腕

 



 開幕から粉骨砕身の働きが続いている。今季で5年目を迎えた矢貫俊之がオンリーワンの存在感を放っている。今季はロングリリーフに、敗色濃厚な展開での敗戦処理に、勝ちパターンの一角とさまざまな役割を課せられ、務め上げている。ただでさえ試合展開、チーム状況に応じたフレキシブルな対応が求められ、日々の調整が難しい要職が中継ぎだが、さらに肩の荷が重くなっている。

 交流戦終了時点で29試合に登板。昨季の自身シーズン最多登板22試合を早くも上回っている。特筆すべきは1人で何役もこなしながらも、数字が証明する抜群の安定感だ。「飛ぶ」ように変わった統一球の影響もあってかほかのリリーフ投手が軒並み成績を下降させている中で、防御率は1.31。「結果を残していかないといけない立場」と謙虚に持ち場を守っている。

 社会人出身の即戦力と期待されたが、入団直後は頭角を現せなかった。先発、中継ぎの両面で戦力となると見込まれていたが、一軍抜てきは先発ローテの谷間の起用に限られた。1年目は1勝止まりで、登板6試合のみ。セットポジションやクイックの稚拙さなど、基本技術の面での課題が山積していた。長い二軍暮らしの中で、地道に克服へと努めてきた。

「 継続は力なり」という、ことわざを地でいく執念深い努力が生きた。中継ぎはさらにクイックなどの基本技術の高さが求められるポジション。レベルが上がったことで、栗山監督ら首脳陣側の信頼も得た。投球の精度などパフォーマンスの向上もシンクロし、ようやく開花のときを迎えた。矢貫は「少しでも勝利に貢献できるように」と誓う。タフネスに到来したチャンスにギラついている。
オーロラビジョン

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