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鈴木誠也 内野手51

広島・鈴木誠也 鮮烈デビュー飾った“宿命”背負う高卒新人

 


 ただ者ではない。ドラフト2位の鈴木誠也は、高卒1年目の目標を超えていった。「一軍昇格」を掲げていた今季、二軍でチーム2位の93試合に出場する英才教育を受けると、才能の片りんを見せつける。一軍からお呼びがかかったのは、CS出場争い真っただ中の9月14日だった。

 そして、いきなりデビューを果たす。マツダスタジアム広島での巨人戦。7回に先頭打者として代打で登場。ファウルとなったが、いきなり澤村の初球・153キロ直球にタイミングを合わせる。最後は再び153キロ直球で二ゴロに倒れたが、対応力を見せつけたのだ。

 鮮烈だったのは、2日後。0対0の4回二死一、二塁と、しびれる場面で代打起用された。3球目だった。今村のスライダーを詰まりながらも左前へ運んだ。プロ初安打が、先制適時打となり初打点もマーク。プロ3打席目でのメモリアル安打で、ラッキーボーイの活躍はチームに勢いを付けた。

 10月3日、前田智の引退試合では一番・右翼手でスタメンに抜てき。「今後、チームを背負うのはお前だ」という、球団からの無言のメッセージだったのかもしれない。「あんな雰囲気でプレーできたのはすごい経験でした。でも、結果が残せなかった……」。この試合は3打数無安打。結局、一軍14打席で、安打は初安打の1本に終わる。CS直前に、フェニックス・リーグ行きを伝えられた。

「順調過ぎたんです。二軍でできたことを、一軍でやる難しさが分かった。とらえたと思っても、詰まらされたり」。そんなことを気付ける高卒1年目はひと握りだ。背番号は、前田智の入団時と同じ「51」。カープの将来を担うことが宿命なのかもしれない。
オーロラビジョン

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