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岩瀬仁紀投手・結果がすべての世界に身を置いて

 



 9試合に登板し、0勝1敗4セーブ、防御率は4.00となっている(5月6日現在)。押しも押されもしない、日本球界の歴史にその名を刻むクローザー・岩瀬仁紀としては、少々物足りないといえるかもしれない。

 ただ、開店休業の試合が多いのは事実だ。クローザーは仲間の奮闘があって、初めて出番を与えられる。苦しい戦いが続く今季の中日が、岩瀬に与えたマウンドは、中8日が2度、中7日が1度……。そもそも登板した9試合のうち、セーブ機会はわずかに5試合しかない。つまり、取るべきセーブを取り損ねたのは1試合だけということだ。

「その失敗を問われるのがこの仕事だから。結果がすべてです。チームの勝利を消してしまうわけだからね。それでも気持ちを切り替えて、次の試合に向けてやるしかないんです」

 唯一の失敗は5月6日の阪神戦(ナゴヤドーム)。1点リードのマウンドで、二死三塁のピンチを背負った。谷繁兼任監督とも話し合った上で、代打・新井良を敬遠し、続く代打・俊介も追い込んだ。あと1球から、完全に打ち取った三塁へのゴロが間一髪の内野安打で同点となった。「最後がどうこうより、最初に出塁を許すとああいうことになる」。数々の修羅場をくぐり抜けてきた岩瀬らしい反省の弁だった。

 あらためて書くまでもなく、実績ではレジェンドの域に達している。前人未到の通算400セーブまであと14。11月には40歳を迎えるベテランだ。多くは蓄積疲労により、活躍期間が短いのがクローザーの宿命。長年にわたって頂点に君臨してきた強さこそが、岩瀬最大の武器なのかもしれない。
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