強烈な破壊音を残した打球が、あっという間にスタンドへと吸い込まれた。5月9日の
ロッテ戦(QVCマリン)、同点で迎えた3回一死一、二塁。A.
ジョーンズは、好左腕・成瀬の外角球を強引に引っ張った。QVCで通算7本目となるアーチは、決勝の勝ち越し3ランとなった。現時点で今季だけでも6戦3発。“お得意先”での猛打は止まらない。
対ロッテ戦で5本塁打は、対戦相手別でも今季最多だ。昨季も対ロッテ戦はパ・リーグ5球団で最多の7本塁打で、QVCでもビジター球場最多の4本塁打を放った。
「自分のことよりもチームが勝つことが大事」と多くは語らないが、「いいイメージは残っている。しっかり自分の準備をして気持ちよく打席に入れている」と余裕を持って打席に立てていることが、本塁打量産につながっている。
量産の秘訣は打撃スタイルにもある。「バットの芯に当てて、強いラインドライブ(ライナー性)の打球を打とうと意識している」と明かす。QVCは中堅上空から本塁方向への風が強いことでも有名だが、グラウンド上では本塁方向でぶつかった風は外野方向に吹き返される。高い打球は押し戻されるが、低い打球はそのまま風に乗り、スタンドへと運び込まれる。
4月は打率1割6分台まで低迷したこともあったが、5月は月間打率4割を超し、本塁打も5月だけで7本塁打。
オリックスのペーニャと本塁打、打点の2部門でシ烈な争いを繰り広げている。
星野監督は「アイツが普通に打ったら、今ごろ貯金しとるやろ」と、まだ納得はしていない。チームは5位と低迷。不動の四番のさらなる奮起が巻き返しの大きなカギを握る。