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則本昂大投手・チームの窮地を救う希望の光

 



 自ら志願して9回のマウンドに向かった。6月9日のDeNA戦(郡山)。雨中で116球を投げ抜き、無四球で今季4度目の完封で7勝目を手にした。「チームが本当に苦しい状況。こういうときに自分で止められる選手になりたいと思ったので。抑えられて良かった」。田中将大がチームを去った後、その先輩から託されたエースとしての自覚をマウンドの上で体現した。

 15日の巨人戦(コボスタ宮城)では8回まで1安打に抑えながら、1点リードで迎えた9回に5安打3失点で逆転のシーズン4敗目を喫したが、交流戦は最終登板を残した時点で、5戦3完封で3勝1敗、防御率0.84。5試合すべて中5日での登板とフル回転しながらも結果を残した。前半戦、ここまでリーグ最下位にあえぐチームの支えとなった。

 今季は新人から2年連続となった開幕投手として、西武打線を相手に9回1失点。15勝を挙げた昨季は一度もなかった完投勝利で幕を開けた。その後に苦しんだ時期もあったが、初めて殻を破った開幕戦の白星が、その後の完封量産にもつながった。

「ペース配分を考えるのではなく、最初から全力。それが僕のスタイル。開幕戦の完投も自信につながった」。2年目のジンクスに阻まれることなく、確かな成長を遂げた。

 何度もチームの窮地を救ってきた。ここまで3連敗以上を3度、止めた。それでもチームは6月14日の巨人戦(コボスタ宮城)に敗れ、11年7月2日以来、1978日ぶりの単独最下位に転落。昨季の日本一王者は苦しみのどん底にいるが、若き右腕がチームに残された希望の光として、後半戦の巻き返しの中心となる。
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