これから夏場にかけて頼りになりそうなのが
能見篤史だ。
メッセンジャーと並ぶ先発ローテーションの柱としてフル回転が予想される。
能見はシーズン序盤を「自分のことより常にチームの勝ちが第一という気持ちで投げている」と冷静に振り返った。
しかし、2年ぶり開幕投手を務めた区切りの10年目に立つマウンドでは、奪三振を量産するなど、球団史上に名前を刻むまでにのし上がってきた。
今季8試合目の先発となった5月16日の
DeNA戦(甲子園)で11三振を奪うと、6月6日の
オリックス戦(甲子園)まで2ケタ奪三振をマークした。
これで71年に
阪神OBの
江夏豊が記録して以来の4戦連続2ケタ奪三振となった。鉄腕ぶりを発揮した能見は、6月14日の
西武戦(西武ドーム)では今季5敗目を喫したものの、6回に木村からこの日10個目の三振を奪いついに伝説の左腕を抜いてセ・リーグ新記録を打ち立てた。
能見は「すべてではないが、バッターによってはスイングで狙いが分かるケースもある」という。マウンドからホームベースまで18.44メートル間の駆け引きも三振奪取のキーになっている。
中西投手コーチも「ストレートと変化球のコンビネーションがいいときのピッチングは絶妙だ」と、後半戦の投球にも大きな期待を寄せている。
交流戦は5試合に登板して1勝2敗だった。91年に
野茂英雄が作った6戦連続2ケタ奪三振こそ逃したが「記録のためにやっているわけじゃない。これからもできることをしっかりやっていく」と前を向いてチームを引っ張る。