週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

石川歩投手・発展途上の即戦力

 



 圧巻の投球だった。6月29日のオリックス戦(QVCマリン)。今季ドラ1入団の石川歩は、8回まで三塁を踏ませない快投で今季5勝目を手にした。昨年のドラフトで巨人との競合の末にロッテに入団。開幕から先発ローテーションの一角を担い、入団前の「即戦力右腕」の評判に違わぬ活躍を見せている。

 順調なスタートだった。開幕カード3戦目、3月30日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)でデビューすると、4月6日の日本ハム戦(QVCマリン)のプロ初勝利は初完投のおまけ付き。5月24日の巨人戦(同)では7回4安打無失点と好投し、自身を指名してくれた巨人から4勝目を挙げた。5勝のうち4勝が日曜日。安土桃山時代の天下の大泥棒・石川五右衛門にちなみ、「サンデー五右衛門」のニックネームもすっかり定着した。

 一方で、プロの厳しさも味わった。6月22日の中日戦(ナゴヤドーム)は、球団ワーストタイとなる被安打16で、9失点も自己ワースト。4敗目を喫した。本人が「不名誉な記録をつくってしまった」と反省すれば、伊東監督も「まだスタミナが足りない。プロの洗礼を浴びている」と厳しかった。

 二軍降格の危機から自らを短期間で復調させた修正能力は、並の新人ではない。能力の高さは疑う余地がない。最速151キロの直球と、鋭く変化するシンカーとカーブはどれも一級品。エース格になれるポテンシャルは十分。開幕先発ローテメンバーが相次いで離脱しているだけに、川越投手コーチは「投げる以上は、新人とはいえやってもらわないと困る」と猛ゲキを飛ばす。シーズンも間もなく折り返し地点。発展途上の黄金ルーキーの挑戦はここからが本番だ。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング