週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

和田一浩内野手・勝利の味を知るベテランの一打

 



 その前日には、1回に3点を先取しながらパ・リーグの首位チームに逆転負けを喫していた。借金「3」で迎えた6月15日のオリックス戦(京セラドーム)。必勝を期したはずの試合だったが、今度は先発の山井大介が1回に3点を失い、さらに2回に安達にソロアーチを浴び、4点を追う苦しい展開を強いられた。

 逆襲が始まったのは6回。中心にいたのは和田一浩だった。1点を返してなおも二死一、三塁から、中越えに適時二塁打を放った。この一打で先発・ディクソンをマウンドから降ろし、続く平田も2番手・比嘉から2点二塁打で一気に追いついた。そして同点の8回には、佐藤達のストレートを左翼席奥深くに突き刺した。9号決勝2ラン。その4日後には42歳の誕生日を迎えたベテランが、勝負強さと衰え知らずのパワーを見せつけた。

「前の日にああいう形で負けていただけに、チームの全員が何としてもという思いは持っていたはずです。僕だけじゃなく、ほかの打者もリリーフも……。全員でもぎ取った白星でした」

 2試合連続逆転負けでベンチの雰囲気がいいわけがない。オリックスの進撃を支えている強力リリーフ陣を打ち崩しての逆転勝利。ここで負の連鎖をしっかりと断ち切れたことが、交流戦の勝ち越しにもつながった。

「本当は勝てる試合を確実にモノにしていかなきゃいけないんですが、投手が打たれるときも打者が打てないときもある。苦しい試合をいかに取っていくか。優勝するためにはそういう試合が必要です」。そう言い切れるのは勝つ味を知っているから。それを象徴するのがこのオリックス戦だった。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング