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戸田隆矢投手・中盤の課題を克服し、主役の座へ

 



 打たれれば即、先発ローテの座をはく奪―。そんな立場から卒業する時期を迎えたようだ。高卒3年目左腕の21歳・戸田隆矢はもう「代役」という肩書を必要としなくなりつつある。

 先発ローテ5、6番手を争う篠田や九里らが立ち位置を確立できず、巡ってきたチャンスをモノにした。今季2度目の先発マウンドとなった7月16日のDeNA戦(マツダ広島)で、5回4失点と苦しみながらもプロ初勝利。続く2度の先発機会では納得のいく投球を披露できなかったが、8月7日の中日戦(ナゴヤドーム)では自身最長の6回1/3を2失点と好投。力強くプロ2勝目を手にし、「ピンチで強気に攻めて、全体的に腕を振れた」と振り返った。

「前回、4回に悔しい思いをした。リベンジする気持ちでいました。(4回ということを)逆に意識して気合を入れました」。再びの悪夢が頭をよぎった。4点リードの4回、先頭から連打を浴びて無死一、三塁。戸田はあえて「魔の中盤」を頭の中で確認したと言う。六番・松井佑、七番・藤井を2者連続空振り三振に仕留め、八番・谷繁は遊直で無失点。ひと皮むけた瞬間だった。

 1週間前の7月31日の中日戦(マツダ広島)では4点リードの4回に4失点し、5回途中で降板。8月7日の中日戦まで今季4度の先発マウンドでは4回に計6失点、5回に計4失点と中盤に苦しんでいた。「4回」というイニングにガチンコ勝負を挑んでゲットした2勝目は価値がある。プロ最長イニングを投げても「もっともっと長いイニングを投げられるようにしないといけない」と浮かれない。その言葉には、先発ローテの一員としての自覚がにじみ出ていた。
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