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荒木雅博内野手・衰え知らずの探究心

 



 9月になれば37歳。ベテランと呼ばれる年齢でありながら、荒木雅博の走塁術は健在だ。8月14日のDeNA戦(ナゴヤドーム)では、三浦-黒羽根のバッテリーに二盗を阻まれた。だが、実はこれが今季12度目にして、初の盗塁失敗だった。

「今シーズンに関していえば、まずは2ケタの盗塁をすることが目標でした。その上で、より確実に……。しっかりと根拠を持てたときにスタートを切るように心掛けていました。アウトになったから言うのではありませんが、あの失敗は今年一番、確信がない中で切ったスタートでした」

 成功率.923(8月21日現在)。数より確率を優先させてきた。それでいて、早々と「2ケタ」の目標はクリア。盗塁に必要なのは3つのS(スタート、スピード、スライディング)と言われるが、荒木は盗むための情報も重んじる。投手自身が気付いていない予備動作やフォームのクセを見つけ出す。バッテリーとの戦いは、出塁の前から始まっているのだ。

 通算346盗塁(同日現在)は、現役では最多。2ケタの目標は達成したから、次は今季中の通算350盗塁を視野に入れている。「次はそこですね。でも、本当に見ているのは高木さんの記録なので……。今年は無理でも来年にはと思っているんです」

 荒木が意識する数字は369。高木守道が持つ球団記録の更新だ。あと24と達成はすでに射程圏内。若かりしころ、走塁と守備で頭角を現して、一軍にしがみついた。スピードという才能だけでなく、探求心と向上心、好奇心を忘れずに磨いてきた。走るベテラン。夏場に入っても衰える気配はまったくない。
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