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中村剛也内野手・キング奪還へ、強力助っ人とシ烈な争い

 



 「今年はたぶん、めっちゃ打つので」と、本塁打王獲りを誓った今季だったが、ここまで決して思うようなシーズンとはなっていない。キャンプ中に発症した左ワキ腹痛の回復が遅れ、4月25日からの一軍合流。復帰後も、四番ではなく、五番での出場がしばらく続いた。五番での出場時は3本塁打に留まっていたが、5月15日に四番に座ると、本領発揮。6月に入ってからは、3試合連発を含む7本を放ち、本塁打王争いに加わった。ただし、自身は「そんなに調子がいい感じではない。たまたま本塁打が出ているだけ」と、状態は決して納得のいくものではなかった。逆に言えば、それにもかかわらず、本塁打が打ててしまうところが中村の非凡さの証明とも言える。

 だからこそ、7月から8月の前半、結果が出ない時期も田辺監督代行の信頼が揺らぐことはなかった。「調子? 決して絶好調ではないけど、悪いわけでもない。どこかポコーンと1本打ってくれる。気付けば本塁打王争いのトップにいるし、それだけで十分四番」。中村自身もその思いに応えようと、「ここまで仕事ができていない。それでも、四番で使ってもらっている。なんとか結果で返していきたい」と静かに闘志を燃やした。8月22日、23日に2試合連続2本塁打を放つなど量産態勢に入ると、同28日の楽天戦(コボスタ宮城)で27号。ついにトップのペーニャ、メヒアに並んだ。

 当然、チームメートのメヒアの存在は大きな刺激となっている。「いつも先に行かれていたので」と、言葉少ない中に負けず嫌いを垣間見せる。残りは30試合を切った。2季ぶりのキング奪還へ向け、チーム内でのシ烈な争いも楽しみだ。
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