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T-岡田外野手・和製大砲の復活ロードは始まったばかり

 



 眠れる大砲がついに爆発のときを迎えた。2014年9月14日。札幌ドームで行われた日本ハム戦。「完ぺきでしたね。しっかりとらえることができましたから」。1点リードの6回二死一塁。甘く入った真ん中スライダーを強振すると打球はきれいな放物線を描き右翼席へ飛び込んだ。T-岡田が10年に33本で本塁打王を獲得して以来となる20号本塁打を記録。「タイトル争いをしているわけではないですが、いい場面で打てたことがうれしかった」。実に4年ぶりとなる大台到達に、苦笑いをしつつも、少し安どの表情を見せたのが印象的だった。

 完全復活を印象づけた。苦しい時期を乗り越えどん底からはい上がった。昨年は左足太モモ肉離れなどケガに苦しみ、思うようなプレーができなかった。「去年はしんどい1年だった。その1年があったから今の自分がある」。10年に本塁打王に輝いてからは11年16本→12年10本→13年4本と代名詞の本塁打は減少していった。

 今季は「野球人生を懸けた1年」と自らにプレッシャーをかけ100キロ以上あった体重を98キロに減量し、動ける体を作り上げ勝負の1年に挑んだ。春季キャンプでは長内打撃コーチと二人三脚で連日バットを振り込み、自らを極限まで追い込んだ。T-岡田の力を知っているだけに長内コーチも「彼の力を考えればまだまだ物足りない数字。本人も納得はしていないでしょう」と満足はしていない。

 チームではペーニャに次ぐ日本人トップの本塁打数をマーク。「目指しているところはこんなところじゃない。まずはチームの勝利に貢献できるようにしたい」。和製大砲の復活ロードはまだ始まったばかりだ。
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