シーズン後半は先発ローテーションを守り続けた。故障、不調の連続だった
岩田稔が、どん底からはい上がってきた。「自分としてはまだまだ満足していない。チームのプラスになるようなパフォーマンスを見せないといけない」
2008年以来6年ぶり2ケタ勝利に届くまでに復活。昨シーズンは9試合登板にとどまったが、規定投球回数にも到達し防御率でも上位に顔をのぞかせている。
今季の初先発が4月20日の
ヤクルト戦(甲子園)までずれ込んだように評価は高くなかった。5回4失点ながら1勝目。ほめられる内容ではなかったが、岩田はここから上昇していく。
昨シーズン終盤には07年以来6年ぶりの中継ぎも経験。先発で芽が出ない岩田の可能性を探ったもので、本人は「このまま終わるわけにはいかない」と刺激を受けた。
課題だった立ち上がりも目立たなくなった。4月26日の
DeNA戦(横浜)で11年10月7日の横浜戦(同)以来の完投勝利。中西投手コーチも「簡単に崩れなくなった」と信頼を得るようになった。
技術的にはスライダー中心だったが、今シーズンはフォークをミックスさせた組み立てで打者を嫌がらせる。打たせて取る投球で変身ぶりをアピールしてきた。
特に夏場の7月には5試合登板で4勝1敗、防御率1.25の抜群の成績を残した。7月度MVPに岩田も「縁がないものと思っていた」と謙そんしたが、1年前までとは見違えるような姿を見せる。
「去年はまったく最低のシーズンで、今年も同じだったらユニフォームを着ることができないぐらいの気持ちでいる。結果を出し続けないといけない立場」。背水の覚悟でシーズンを乗り切っていく。