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中日・オーロラビジョン

伊藤準規投手・復活劇を期す

 



 光は見えている。その先には明るい世界が待っている。あとは、自力で抜け出せるかどうか……。「いろいろと反省があります。この1球、ここというところでミスをしてしまうので」

 伊藤準規が悔しそうに振り返ったのは9月15日、DeNA戦(横浜)の試合後だ。今季7試合目、5度目の先発を任されたが、梶谷に先頭打者弾を浴びるなど6イニングを3失点(自責点は2)。3戦連続でクオリティースタートの条件はクリアしているが、納得はできていないようだ。

 ただ、投球内容への不満を感じられるのもマウンドに戻ることができたからだ。伊藤の右ヒジに異変が生じたのは昨春。じん帯損傷の診断を受けたが、保存療法での復帰に希望を託した。だが、二軍戦でも登板ができないままに10月26日、骨棘除去などの関節形成術に踏み切った。苦しいリハビリを経て、2年ぶりの一軍戦登板を果たしたのが7月15日。2敗、防御率4.05(9月18日現在)と復活勝利こそ挙げていないが、着実にステップは上がっている。

「自分だけじゃなく、球団にも『手術させて良かった』と思ってもらいたいですし、支えてくれたスタッフにも勝つことが恩返しになると思うんです。だから……」

 オフにはエースナンバー18をはく奪され、65から再出発。年俸も野球協約の限度額となる25パ―セントダウン。しかし、2年前のCSファイナルステージでは、巨人打線をねじ伏せた潜在能力の持ち主だ。

 将来のエース候補としての期待と位置付けは何ら変わってはいない。それは伊藤にも伝わっているはずだ。だから悲壮感ではなく決意がみなぎっている。
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