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大瀬良大地投手・大き過ぎるノルマを達成したルーキー

 



 2ケタ勝利を最低ラインとするのは、あまりに酷かもしれない。ただ、それだけ期待が大きかったのだ。ドラフト1位ルーキー・大瀬良大地が9月25日、敵地ヤクルト戦で7回5安打1失点と好投し、10勝目を手にした。「2ケタ勝利はシーズン前から、ひとつの目標としてきた。うれしいです」。97年の澤崎俊和以来、17年ぶり、ドラフト導入後では球団6人目の新人2ケタ勝利に、爽やかな笑顔でグラウンドを後にした。

 投げ終わった後、何度も体が一塁側に流れた。荒々しいフォームは変化の証しだった。

「いつも大事に行き過ぎて打たれる。もっと大胆に、と。打たれてもいいや、くらいの気持ちでした。細かくコースを狙うというよりは、テンポ良くストライク先行で行こうと思っていた」

 反面教師にしたのは9月13日、阪神戦(甲子園)の自分だ。1回表に4点リードをもらいながら、1回裏に2失点、2回裏に1失点した。丁寧な投球を心掛けた結果、力強さを欠いた。この反省を12日後に生かした。

 心身ともに疲労がたまった5月下旬以降、夏場は打ち込まれて勝ち星から遠ざかる日々が続いた。想像を絶するプレッシャーから眠れない日も多く、何度となく体に発疹ができた。マウンドでは左肩が開き、ヒジが下がる悪いクセが顔を出した。がむしゃらに走り込み、フォーム修正を続け、苦しみながらも投球内容を改善することで長いトンネルから抜け出した。

 新人王最有力候補はクライマックス・シリーズでも前田、ヒースに次ぐ先発要員として期待される。「大事なところで投げさせてもらえるような信頼を得て、結果を出せるようにしたい」。大舞台で躍動する姿が楽しみだ。
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