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上林誠知内野手・非凡さを感じさせる「鷹のイチロー」

 



「鷹のイチロー」を目指す19歳が、一歩ずつ着実に階段を登っている。上林誠知は2013年のドラフト会議で、4位指名された俊足巧打の左打者だ。背番号は、あこがれのイチローと同じ「51」。育成選手を除けばチームの「最下位指名」だったが、そのポテンシャルへの球団の期待は最も高いと言っても過言ではない。

 7月16日のウエスタン・リーグ阪神戦(鳴尾浜)。9回に代打で登場し、右翼線への痛烈な二塁打で公式戦初安打。4月22日の同オリックス戦(雁の巣)での公式戦初打席は3球三振だったが、通算4打席目での待望の初安打に「スライダーをうまく運べた。うれしい」と素直に喜びを爆発させた。

 仙台育英高では、高1の秋から四番を任された。高校通算23本塁打を放ち、バットコントロールも巧み。50メートル6秒0の俊足、遠投100メートルの高い身体能力を買われ、高校までは外野手だったが内野手として入団した。三軍制を敷く球団にあって、高卒1年目の今季は主に三軍でじっくりと体づくりに励んだが、その高い打撃能力は2月のキャンプ中から騒がれた。

 宮崎での春季キャンプでは、王球団会長がわざわざ上林の打撃を見るためだけに、B組(二、三軍)練習場に足を運び直接指導。「侍ジャパン」の小久保監督も、2度目の視察の際のお目当ては上林だったが、高校の卒業式に出席するためキャンプを一時離脱していた。小久保監督は「高校生であれだけ右ヒジの使い方がうまいのはいないと(キャンプ視察中の)沖縄までウワサが伝わってきてたから、見たかったんだけどね」と残念がった。今季パ・リーグを制した最強打線に、若き「イチロー」が加わる日はそう遠くない。
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