復活へ、確かな手応えを得た1年だった。2011年のドラフト1位・
塩見貴洋。21試合に登板し、8勝7敗を記録。特に8月28日の
西武戦(コボスタ宮城)から、9月24日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)までは5試合で4勝無敗と活躍。後半戦にチームの先発ローテを支える存在となった。
八戸大を経て、ルーキーイヤーでいきなり9勝を挙げる活躍を果たし、同い年の
田中将大とともに左右のエースとして期待されたが12年は6勝。リーグ優勝、日本一を成し遂げた昨年は一軍登板すらなかった。「優勝の瞬間は見ていない。テレビもつけなかった」と、歯がゆさ、悔しさをにじませて挑んだ今季。先発ローテーション入りを勝ち取って開幕を迎え、初登板の3月29日西武戦(西武ドーム)では8回2失点の好投で勝利投手になった。5月中旬から2カ月間、不調で離脱したものの、最終的には則本、辛島に次ぐ、先発の3番手といえる存在だった。
自分から目立つことをするタイプではないが、若い投手が多い
楽天においては、すでに中堅の存在。春季キャンプ中「今は塩見がリーダーシップ取ってやっている」とチーム関係者が語ったように、要所要所で後輩たちを引っ張る役割を果たしている。
星野仙一前監督は、今季最終戦の日に、あらためて期待することについて「則本、辛島が育ってきて、塩見が戻ってきた。ここが機能して、松井裕だとか森だとか若い存在が勝ってくれたら投手陣は面白くなる」と語った。
もちろん、自身初の2ケタ勝利は果たせなかっただけに、完全復活はその数字が目安となる。「来シーズンこそ」の気持ちを結果につなげたい。