週刊ベースボールONLINE

オーロラビジョン

大野奨太捕手・とっておきの隠し玉1位から正捕手へ

 



 6年前の2008年。ドラフト会議で静かなサプライズが起きた。日本ハムが単独で大野奨太を1位指名したのだ。各スポーツ紙、一般紙を含め、専門誌でさえ予想できなかった名前が「東洋大・大野」だった。全体的に不作の年で、目玉は巨人が1位指名した東海大相模高の大田泰示(巨人)。それだけに各球団のカラー、眼力が問われる年だった。

 鮮やかに大野を射止めた直後、山田GMは早い段階から指名を決めていたと明かし、理由をこう説明した。「長い間、レギュラーの捕手を任せることができそうな選手は何年かに1人しかいない。それが大野だった」。日本ハムが捕手を1位指名したのは1998年、佐賀学園高・實松一成(現巨人)以来6年ぶり2人目。實松は「外れ1位」だったため、純粋な1位は大野が初めてだった。

 狙いどおり、順風満帆にステップアップしてきた。1年目に捕手出身の梨田前監督の下で一軍に帯同し、77試合に出場。経験値を積んで11年には初の100試合以上出場も果たした。先輩でライバルの鶴岡慎也(ソフトバンク)と競い合い、レベルを上げてきた。その鶴岡が昨季限りで移籍し、今季は自身最多105試合出場。完全に正捕手の座をつかんだ。

 選手会長としてチームを束ね、球団の未来を担う人材として評価が高い。10月29日からの秋季キャンプ(沖縄・国頭)にも若手主体のメンバーに組み込まれた。満身創痍の体で1年間の戦いを終えたばかりで練習メニューに制限はあるが、精神的支柱として再出発のチームをけん引する。「それでもいろいろとやれることがいい」と前向き。球団の狙いどおり、心技体そろった看板選手になった。
オーロラビジョン

オーロラビジョン

週刊ベースボール各球団担当による、選手にまつわる読み物。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング