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金子千尋投手・今季ラスト登板で魅せたエースの意地

 



 1996年以来の優勝を逃した森脇オリックス。だが、最後の最後まで優勝の可能性を残し、戦い抜いたことは今後の財産になるだろう。勝てばVが目の前に近づき、負ければV逸となったソフトバンクとの「10・2」決戦(ヤフオクドーム)はパ・リーグを沸かせた。だが、それよりもそこまでの過程が素晴らしかった。

 ベストゲームはエース・金子千尋のレギュラーシーズンラスト登板となった9月30日の楽天戦(コボスタ宮城)。絶対に負けられない試合でエースの意地を見せた。

「よく、3点で粘れたなと思う」。試合を終えた金子は不満顔だったが、チームの命運を懸けた試合で勝利をもたらした。先制を許す展開となったが7回9安打3失点。沢村賞を決定づけるリーグトップの16勝をマークした。

 絶対にチームを勝利に導く。エースの思いはそれだけだった。7イニングで先頭打者を5度許し、得点圏に走者を背負ったのはじつに6度。2回二死二、三塁の場面では島内に先制の中前2点適時打を浴びる苦しい展開。だが、逆転Vへ重圧が懸かるマウンドでも粘りの投球を見せ「いつもどおりにいかないこともあるが、そこで結果を残さないと意味がない」と意地を見せつけた。

 当初は10月2日の決戦に登板予定だったが9月26日の西武戦(京セラドーム)から3連敗。中5日でこの日の登板に備えた右腕に森脇監督も「ナイスピッチングだった。いつもの千尋の投球をしてくれた」と、何度もうないずいた。5年連続Bクラスと低迷していたチームは2014年の激闘を経て生まれ変わった。常勝軍団への一歩を踏み出したオリックスが来年は必ずパ・リーグを圧倒する。
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