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上田剛史外野手・今季最初で最後のサヨナラ試合

 



 打撃陣が好調で、打ち勝つ試合が多かった今シーズン。最下位からの巻き返しを誓うチームにとって、競った展開でいかに勝ちを拾えるかが、来季の浮上のカギとなる。そのお手本とも言える試合が、6月22日のオリックス戦(神宮)だ。

 勝利を決めたのは、打撃で思うような結果が残せずに苦しんでいた上田剛史だった。10回裏、川端の二塁打をきっかけに2つの四球で一死満塁のチャンス。代打が考えられるケースだったが、「途中からゲームに出てボールを見ていたから」と、小川監督は途中出場の背番号50をそのまま打席へ送り出した。ボール球をうまく見極め、カウント2―2となってから内角のスライダーを執念で左翼へ(記録は左犠飛)。三塁走者の川端が激走し、今季初のサヨナラ勝ちを収めた。

 野球人生で自身初の“サヨナラ打”。殊勲の上田は「意外と冷静にいけた。これまでは、打ってやろうという気持ちが強過ぎたが、今日は引っ張りに入らずセンター方向へと杉村コーチが声をかけてくれた」と笑顔で振り返った。真中チーフ打撃コーチ(当時)も、「すごい集中力だった。(勝負球の前に)低めのスライダーを見極めたのが良かった」と打席での粘りを称賛した。

 先発のナーブソンがリードを許し、守備にもミスが出るなど、苦しい場面が多かったこの試合。その中で打線がしぶとくつないで得点し、終盤はリリーフ陣が粘りの投球を見せ、劇勝を呼んだ。

 チーム一丸――。真中新監督が就任会見で語った言葉を体現したかのような本拠地での一戦。逆境でも決してあきらめない姿勢を、来季も見せ続ける。
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