侍ジャパンの一員として、メジャー相手に史上初の4投手継投でノーヒットノーランを達成。2番手で登板した
西勇輝は異様な雰囲気の中でも2回を完璧に封じた。「則本がいいピッチングをしたので、つなげられるようにと思って投げました」。今季、一番の成長株は日の丸を背負い堂々のピッチングをやってのけた。
チームは優勝まであと一歩届かなかったが、若き右腕は自己最多の12勝(10敗)を挙げリーグを代表する投手に成長した。開幕から球団新記録の8戦8勝の偉業を達成。順風満帆に見えた西に試練が訪れたのは連勝記録が止まった5月28日の
中日戦(ナゴヤドーム)だった。0対1で迎えた8回二死走者なし。この日、最速となる146キロの直球で松井雅を見逃し三振。ストレート勝負は若き右腕の意地だった。「チームが連敗して、とても悔しい」。歴代2位タイとなる開幕9戦9勝の記録に挑むも1失点完投で今季初黒星。6回まで打者18人、許した安打はわずか1本。だが、唯一の失投が命取りになった。7回二死から森野に左翼線二塁打を浴びると、続くルナには131キロのスライダーを中前に運ばれ1点を失った。
試合後は悔しさからか報道陣の問いかけにも言葉は見つからなかった。「チームが負けたことが一番。でも、あの試合で次から切り替えることができた」
連勝はいつか止まる──。分かっていても受け入れられない自分と葛藤した。144試合のシーズンを乗り切るため、気持ちを切り替える重要な1戦だったことを西は明かした。「自分の勝ちは別。チームが負けない投手になる」。来季はこれまで以上の思いを背負い、マウンドに上がる。